2025 年 4 巻 論文ID: 2024_011_OA
目的:就労継続支援B型事業所での就労支援が,若年性認知症の本人にとってどのように経験されているのかを明らかにする。方法:就労継続支援B型事業所に通所する若年性認知症の人とその支援者を対象に参加観察やインタビューを行った。フィールドノーツおよびインタビューの逐語録を,マイクロエスノグラフィーの方法に基づいて分析した。結果:[認知症になり何もできない思いが,通所によって前を向き,明るい気持ちになる]というコアカテゴリーに包含される形で【できることをさせてもらうことで,迷惑をかけずに自分らしく働き続けたい】思いを基盤とし,【送迎してもらうことで迷わず通える】ことで【家族や他の利用者に自分の状態を伝えてもらうことで迷惑をかけずに過ごせる】【他の利用者との協働の中でサポートを受け,活動を楽しめている】【1人ではできなくなった好きな作業を楽しめている】【不安と向き合い続けながら,自分なりの試みができる】ことを示した。これらが【否定されず,気にかけられることで安心できる居場所になる】【頼りにされることや得意な料理活動によって存在意義を見出している】ことに影響し,【認知症の症状が進行しても自分が居られるまでは長く居させてほしい】という継続への意向を示した。結論:若年性認知症の本人は迷わず通所し,慣れ親しんだ活動や周囲の理解,他の利用者との協働を通じ,安心感や自律性を高め,通所継続への意向を示した。