日本老年療法学会誌
Online ISSN : 2436-908X
原著
靴のサイズ適合性が女性高齢者の静的バランス能力に及ぼす影響:転倒リスク別による比較
井上 大樹 藤井 啓介大藏 倫博
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2025 年 4 巻 論文ID: 2024_014_OA

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抄録

【目的】高齢者を転倒リスク別に分類し,靴のサイズ適合性が静的バランス能力に及ぼす影響を検討することとした。【方法】本研究は地域の女性高齢者56名(平均年齢72.9±5.0歳)を対象とし,開眼片足立ち時間を用いて「転倒リスク低群」,「転倒リスク高群」に分類した。静的バランス能力の評価にはzaRitz BM-220を使用して重心動揺測定をおこない単位軌跡長,矩形面積,前後速度,左右速度を算出した。靴のサイズ測定はBrannock deviceにて足部の足長(踵からつま先までの長さ),アーチ長(踵から母趾の中足趾節関節までの長さ),幅(足の横幅)の3項目を測定した。測定結果に基づき,適合した靴を着用した適合条件と,適合サイズよりも長さが 1.0 cmかつ,幅が1サイズ大きい靴を着用した不適合条件を設定した。重心動揺項目の比較に群(転倒リスク低群 vs. 転倒リスク高群)と条件(適合 vs. 不適合)の反復測定二要因分散分析をおこなった。【結果】転倒リスク低群と転倒リスク高群における靴のサイズ適合性による重心動揺項目の変化は,矩形面積(P=0.012),左右速度(P=0.032)において有意な交互作用が認められた。【結論】転倒リスク高群のみ,適合条件よりも不適合条件で矩形面積が広く,左右速度が速いという不適合な靴による静的バランス能力への悪影響が示唆された。そのため,転倒リスクの低い高齢者よりも転倒リスクの高い高齢者では適切なサイズの靴を選択することがより重要である。

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