心身健康科学
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原著論文
カックアップ装具の長さが使いやすさに及ぼす影響
吉田 渡鍵谷 方子久住 武
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2014 年 10 巻 2 号 p. 86-96

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抄録

快適に装用できる装具は,支持面積が大きいほど良いとされるが,快適性には使いやすさという要素も必要である.そこで,装具の使いやすさの判断基準となる要因を検討した.さらに,支持部の長さと呼吸および心拍との相互の関連を明らかにした.
対象は上肢に運動機能障害のない健常成人とし,製作したカックアップ装具 (以下,装具) は,①支持部の位置が掌側と背側,②長さが前腕長の2/3 (以下,Long) と1/6 (以下,Short) を組み合わせた4種類とした.装具使用前後の印象と動作中の使用感を質問紙で調査した.さらに,呼吸数,二酸化炭素排出量 (VCO2),心電図のR波の間隔 (以下,心電図R-R間隔) を計測し,使用感との関係を検討した.
見た目で使ってもよいと感じた装具は支持部の位置,長さのどのタイプにも偏らなかった.使用後は,長さが判断基準となりShortが好印象であった.使用感は,Shortと比べLongで悪かった.呼吸数とVCO2は動作で有意に上昇 (p<0.01) するが,装具の違いによる影響はなかった.心電図R-R間隔の結果も同じであった.LongよりもShortの使用感が良好なことや生理機能に特徴的な差を認めないことから,快適な装具を製作するためには従来の長さ (今回のLong) だけでなく,Shortも選択肢の一つになると考えられる.

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© 2014 日本心身健康科学会
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