本研究は男性の地域在住高齢者51人を対象とし,転倒リスクとロコモティブシンドローム(ロコモ)評価および足趾運動機能との関連性を検討したものである.調査項目として転倒リスク簡易評価指標,ロコモの評価として開眼片脚起立時間およびロコモ度テスト(2ステップテスト,立ち上げりテスト,ロコモ25),また足趾運動機能として,足趾10秒テスト,足趾握力,足趾挟力を測定した.その結果,対象者の約4人に1人に転倒リスクがあり,すべての測定項目において転倒リスクと有意な相関関係(r>0.47,p<0.01)が認められた.その程度を最も反映していたのはロコモ評価では2ステップテスト(r=−0.679),足趾運動機能では足趾握力(r=−0.574)であった.この2つは動的なバランス力の他に地面と接地する足趾力を反映しており,これらをトレーニングすることで転倒リスクの軽減につながる可能性が示唆された.