2024 年 20 巻 2 号 p. 47-60
足底の能動的探索運動が体性感覚および認知機能に及ぼす影響を検討した.健常大学生16名を対象に,座位にてマットの硬さを判別させる弁別課題を10日間行う足底知覚トレーニング群と行わないコントロール群に分け,トレーニング前後で比較した.評価項目は,弁別課題,体性感覚,立位バランス,認知課題による注意機能および心的回転能力とした.トレーニング群では弁別課題の成績が8名中5名で向上し,コントロール群と比較して有意な効果が認められた.トレーニング群では二点識別覚の距離が減少する傾向および選択的注意機能の向上が認められた.弁別課題や二点識別覚,選択的注意機能では成績が低い者ほど向上し,弁別課題の変化率と転換性・分配性注意の変化率に関連が見られた.弁別課題の成績が向上した5名に限定すると転換性・分配性注意の変化率と心的回転能力の変化率に関連が見られた.足底の能動的探索運動のトレーニングによる身体へのアプローチが,体性感覚のみならず,注意機能などの認知機能向上を伴って弁別機能を向上させることが明らかとなった.