抄録
成熟期の女性は,不妊を自覚するとアイデンティティの揺らぎ・問い直しと再構築という危機に迫られる.それらの克服のため,わが子の出産を目指すこと,およびわが子の養育や世話に限らないGenerativity(生殖性:普遍的な世話)にも価値を持てる次世代養育プログラムでの関与が必要である.一般不妊治療中の女性22名を対象に,参加型教育と情報提供型教育による次世代養育プログラムに無作為に割り付け,介入前,介入後3カ月の次世代養育意識得点の変化を2元配置分散分析により検証した.参加型教育とはグループワークシップ中心の健康教育であり,情報提供型教育とは講義のみの健康教育であり,具体的な次世代養育プログラム内容は,不妊治療の意義と妊孕性低下予防のための生活習慣,次世代養育の意義がわかること,卵巣予備能力や妊娠率を知り,治療の自己決定ができることにある.参加型教育の介入により「生殖性の意識」「不妊治療の意義」「女性の生き方の考え」意識が有意に上昇し,情報提供型教育の介入では「性に関する教育」意識が有意に上昇した.それらの結果から,次世代養育プログラム介入手法は,講義とグループワークシップを組みわせることでプログラム目標に到達できることが明らかになった.