養成過程にある理学療法士の心身ストレスを性格類型との関連から明らかにすることを目的として,理学療法士養成校の学生84名と新人理学療法士102名に対し,ストレスについてアンケート調査とYG性格検査を行った.このアンケート結果を因子分析して,ストレス因子を抽出した.重み付けした因子得点を従属変数として,臨床経験の有無およびYG性格類型を独立変数として分散分析を行った.その結果,4つのストレス因子が抽出された.気分の変調因子は臨床経験と性格類型のそれぞれに,対人関係因子は性格類型についてのみ主効果が見られた.また,将来の見通し因子は交互作用がみられたが,食欲不振因子は関連がみられなかった.これらのことより,新人理学療法士のB·C類では気分の変調に陥りやすいことが考えられた.また,E類以外の新人理学療法士は将来についての葛藤に悩まされる可能性があることが示唆された.なお,対人関係は性格による違いはなく,食欲不振は誰にでも生じ得るストレスであることが明らかになった.