日本ヘルスケア歯科学会誌
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調査報告
歯科診療所における初診患者の実態調査とその推移 第11報
地域経済格差と健康格差に着目した解析
秋元 秀俊藤木 省三
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ジャーナル オープンアクセス

2018 年 19 巻 1 号 p. 73-86

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抄録
の調査は,定期管理型歯科診療所の初診患者の経年的動向を知ることを目的に,日本ヘルスケア歯科学会の会員診療所(主に認証診療所)において日常的に記録されている資料を収集して,その初診患者の特徴を分析したものである.第11 次調査は,47 診療所(22 都道府県)の1 年間(2016 年1 月1 日から12 月31 日)の初診患者(生年月日と性別の記載がある患者総数12,261 人,男性5,173 人,女性7,088人)を対象にしたものである.会員診療所のうち原則として初診患者全員の口腔内記録がデジタル化されたデータとして提出可能で,6 歳以上の小児について1 人平均DMF 歯数(以下,DMFT 指数),成人についてはDMFT 指数のほか,残存歯数,歯周病進行度,喫煙経験の記録(いずれかを満たさない場合を含む)のある会員に協力を要請し,その記録を集計した.その結果,12 歳以上の年齢(階層)別DMFT 指数,男性の喫煙者率の顕著な低下が認められ,男女とも高齢者の年齢階層別の現在歯数の増加が,前年調査(2015 年)に引き続き認められた.調査協力歯科診療所の所在自治体の成人1 人当たり市町村税額により診療所を4 群に分けて,初診患者の特性を比較したところ,①10 歳以上の年齢階層別DMFT は1 人当たり地方税の低い群で高く,②成人では低所得群で加齢に伴ってDMFT が増加する傾向がより顕著であり,③50 歳以上のすべての年齢階層で,1 人当たり地方税の低い群から高い群まで,その順に現在歯数の平均値が大きくなっていることが明らかになった.
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© 2018 一般社団法人日本ヘルスケア歯科学会

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