日本ヘルスケア歯科学会誌
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調査報告
〈調査1〉歯科診療所における初診患者の実態調査とその推移 第12報
DMF歯数の度数分布と健康格差に着目した解析
秋元 秀俊藤木 省三
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ジャーナル オープンアクセス

2019 年 20 巻 1 号 p. 41-55

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抄録

定期管理型歯科診療所の初診患者の経年的動向を知ることを目的に,日本ヘルスケア歯科学会の会員診療所(主に認証診療所)において日常的に記録されている資料を収集して,その初診患者の特徴を分析した.この第12次調査は,52診療所(24都道府県)の1年間(2017年1月1日から12月31日)の匿名化された初診患者(生年月日と性別の記載がある患者総数12,684人,男性5,448人,女性7,236人)の口腔内の記録を集計・分析したものである.会員診療所のうち原則として初診患者全員の口腔内記録がデジタル化されたデータとして提出可能で,6歳以上の小児について1人平均DMF歯数(以下,DMFT指数),成人についてはDMFT指数のほか,残存歯数,歯周病進行度,喫煙経験の記録のある会員に協力を要請し,その記録を集計した.その結果,12歳以上の年齢(階層)別DMFT指数,男性の喫煙者率の顕著な低下が引き続き認められ,男女とも高齢者の年齢階層別の現在歯数の増加が引き続き認められた.調査協力歯科診療所の所在自治体の成人1人当たり市町村税額により診療所を4群に分けて,初診患者の特性を比較したところ,①地域の経済格差はう蝕経験の極端に多い子どもの多寡によってDMFT指数に反映する,②50歳以上の年齢階層で,所得階層順に現在歯数の平均値が大きくなっていることが明らかになった.また,この健康格差は経年的に縮小傾向にあることが認められた.

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© 2019 一般社団法人日本ヘルスケア歯科学会

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