2014 年 11 巻 1 号 p. 67-73
筋萎縮性側索硬化症やパーキンソン病のような神経難病は医学的な治癒が困難で、患者は重度の障害のために自立した生活が困難になり、生命の危機にたびたび直面する。そのため、神経難病患者もまた、がん患者と同様にスピリチュアルな苦悩を抱えていると考えられる。本稿では、神経難病患者がどのようなスピリチュアルな苦悩を抱えたのかを、彼らの手記を使って明らかにする。分析対象としたのは7人の手記で、病の転換期におけるそれぞれの経験を取り出した。彼らは、診断を受けたときだけでなく、症状の進行時期に繰り返しスピリチュアルな苦悩を経験していた。これらの苦悩は、【人生の意味への苦悩】【将来への予期的な恐怖】【孤立感】に分類された。また、彼らの苦悩への対処は、【生き方の見直し】【希望】【人との繋がり】に分類された。