医療看護研究
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Print ISSN : 1349-8630
研究報告
急性期病院に入院した心不全患者の入院前後の状況
北村 幸恵高谷 真由美中里 祐二
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2015 年 11 巻 2 号 p. 22-27

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抄録

 本研究の目的は心不全が原因で急性期病院に入院した患者の入院前後の状況と増悪の要因に関する実態を明らかにし、より患者の実態に即した患者指導を実施していくための基礎資料を得ることである。首都圏にあるA大学病院に、平成21年~平成25年の5年間に心不全を主要因として入院した循環器疾患患者の診療記録から基本属性、入院時の状況、自覚症状、合併症、悪化要因などを抽出し、分析した。心不全による入院患者の平均年齢は71歳で、患者数の割合は男性の方が多く、女性患者の平均年齢がより高くなっていた。過去5年間の心不全による再入院者数の割合は約40%であり、緊急での入院は7割以上、冬季の入院数が多くなっていた。入院前の自覚症状は呼吸困難、浮腫が多く、症状を自覚してから入院まで2週間以上経過しており、悪化要因として多かったのは水分・塩分制限の不徹底、不整脈、基礎疾患の悪化であった。基礎疾患・合併症では高血圧、不整脈、糖尿病が多くなっていた。性別・年代別・糖尿病の有無で入院前後の状況や悪化要因に違いがみられ、対象者の個別の特徴を考慮したセルフケア指導が必要であることと、その具体的内容が示唆された。

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© 2015 順天堂大学医療看護学部
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