2015 年 11 巻 2 号 p. 15-21
本研究では療養病床の多職種チーム活動におけるチームの特徴と看護師の役割機能を明らかにすることを目的に、療養病床で働く多職種者(5施設、12職種、33名)にフォーカスグループインタビュー法を用いた調査を行い、質的に分析した。
その結果、チームにおける情報のやり取りや目標の共有に関連した特徴が示され、看護師の役割機能は、逐語録から47のコード、17の小項目、5の中項目に整理され、最終的に【情報収集と発信の中核】と【患者の身体状態に関連した他職種者の支援】の大項目に整理された。各大項目に含まれるコード数の傾向から、チームの特徴によって看護師の役割機能が異なることが明らかになった。また、チームの特徴から、目標が明確になっていない状況では情報が共有されないことが示され、これには患者の目標の明確化に向けた関わりの不足、すなわち患者の先を見据えた情報の発信と共有化に課題があることが考えられた。
以上より、療養病床での多職種チームで高齢者ケアを推進するためには、チームの特徴に則した看護師の情報収集と発信能力の向上、および組織で情報を共有し活用するためのシステムの構築とそのための教育が必要であることが示唆された。