2018 年 14 巻 2 号 p. 9-18
グローバル化が進む現代において、看護師が多様な文化的背景をもつ患者にケアを提供する機会は増えている。21世紀の看護を担う看護学生の英語力は異文化看護に欠かせない。本論は、看護学生200名に対して実施した外国人模擬患者(SP)への問診・実技演習の概要・評価および本演習の課題を示した論考である。多様な文化的背景をもつ在留外国人の協力を得て、臨床現場を模した学習環境での演習となった。英語教員と看護教員の双方が関わったこの演習は学際的なものとなり、看護学生・外国人SPともに演習への満足度は高かった。特に病歴や症状の問診、バイタルサイン測定を通して、異文化看護に必要な知識・スキル・態度を身につけようという意欲が感じられた。さらに、学生は文化の違いを超えた看護の心にも気づきを得た。2コマという限られた時間ではあったが、座学で学んだ臨床英会話や実習で学んだ看護技術を実際に外国人模擬患者に対して実践した演習は、看護学生の異文化コミュニケーションへの理解を深め、よりよい看護実践のための動機づけとなった。今後は、演習内容や構成、時間配分等に関する課題について検討し、より深い学びが得られる演習となるように改善する。