抄録
目的 キャリア発達上危機的段階である「中期キャリア」の看護師のトランジションについて、Meleisのトランジション理論の理論枠組みを参考に、中期キャリア女性看護師のトランジション状況を明らかにする。
方法 研究協力者は中期キャリアの女性病棟看護師18名であり、Meleisのトランジション理論の「トランジション状況」について、半構造的面接をし、質的帰納的に分析した。
結果 中期キャリア看護師のトランジション状況は【看護師として働く魅力、意味の確認】、【組織・上司・他者からの要望・評価の認識】、【看護師としてのキャリア形成への努力】、【希望する職場で働くための準備】、【変化を期待した職場の異動・離職】、【予測できない職場・家庭生活への困惑】、【体力や気力が脅かされる懸念】、【ライフステージを考慮した調整】の8カテゴリーに抽出された。これらの抽出されたカテゴリーは、《個人》、《コミュニティ》、《ジェンダー》の単一のトランジション状況だけでなく、複数のトランジションに関与している構造が示された。
考察 中期キャリア看護師のトランジション状況はキャリア発達にポジティブとネガティブな存在として関与し、次のトランジション段階へと進む促進要因・抑制要因となるといえた。