医療看護研究
Online ISSN : 2758-5123
Print ISSN : 1349-8630
総説
在宅障害者の「親亡き後問題」についての現状
倉田 慶子櫻井 しのぶ
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2021 年 18 巻 1 号 p. 1-11

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抄録
 背景:医療の発展に伴い国内の重度の知的障害と身体障害を併せ持つ重症心身障害者の高齢化と共に、その介護を担っている親も高齢化し、今後の看護支援について検討する必要がある。
 目的:適応機能が低く日常生活に介助を要する在宅障害者の「親亡き後問題」について、研究論文をもとに在宅障害者と親の生活の実態から抱える問題について現状を明らかにすることにした。
 方法:elderly parents・disability・障害者・親亡き後・高齢家族をキーワードに論文を検索し、当事者および家族の年齢の推移や同居の有無等の属性の状況、親亡き後問題の実態、在宅障害者への地域における支援体制の現状と課題、について精読した。
 結果・考察:対象となったのは、19件の論文であった。障害者とその親は、高齢化し、親との同居によって障害者の生活を支えている状況があった。親は障害者の日常生活上の介助や金銭管理等を案じていたが、親自身が障害者よりも先に逝去した場合、親と同様に障害者の思いを汲み取れる存在がないことを何よりも案じていると考えられた。
 結論:重症心身障害者と親の高齢化は今後も継続する状況にあるため、親の不安の軽減を図るための支援体制の再構築が必要である。
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© 2021 順天堂大学医療看護学部
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