日本看護科学会誌
Online ISSN : 2185-8888
Print ISSN : 0287-5330
ISSN-L : 0287-5330
研究報告
精神科看護師における怒りの表出過程とその関連要因の因果モデルの作成
渋谷 菜穂子 高橋 里沙
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2015 年 34 巻 1 号 p. 340-352

詳細
抄録

目的:ソーシャル・サポートの質や量の少なさから怒りを喚起し攻撃行動に至る心理過程とその関連要因のモデルを仮定し,検証することを目的に,精神科看護師に対して質問紙調査を行った.方法:怒りの表出過程とその関連要因との関連について因果モデルを作成し,構造方程式(パス図)を描き,共分散構造分析を実施した.因果モデルの検証には,モデル適合度指標を使用した.なお,質問紙は,ソーシャル・サポートやストレス,共感性など9種類の質問紙を使用した.結果と結論:分析対象1,001名(最終有効回答率=70.0%)の回答を分析した結果,最も「あてはまりの良いモデル」は,GFI=0.94, AGFI=0.91, CFI=0.92, RMSEA=0.063であった.さらに,【ソーシャル・サポートが(少)ない→ストレス(人間関係および職場環境のストレス,仕事内容のストレス)が増加→怒り心理反応を喚起→攻撃行動】という過程が明らかになると同時に,その過程に影響を与える要因が示された.また,対象の看護師の男女比は1 : 3であり,男女間における多母集団同時分析によって性差についての検討も行った.その結果,一部の相関関係(共感性⇔仕事のストレス間,など)で性差がみられることが明らかになった.

著者関連情報
© 2014 日本看護科学学会
前の記事 次の記事
feedback
Top