2012 年 8 巻 2 号 p. 16-21
本学部に導入されたICTシステムを基礎看護学の「フィジカルアセスメント」では教授・学習方略に活用している。平成22年度の授業運営においては、前年度の調査で課題となったeラーニングコンテンツの改善やeラーニングと演習の関連づけの強化に対し、学部4年生を協力者として教材作成のプロセスに加え、学習者の視点を補強したeラーニング教材を作成し、授業設計に工夫を図った。そこで、本研究は授業運営の改善方法を示し、学習効果を検討することを目的とした。学習効果は科目の授業終了時に、eラーニングの活用実態、及び授業に対する学生の自己評価(①学習習慣およびeラーニングの利用状況、②自己調整学習方略と動機づけの信念に関する内容:MSLQ)を調査した。分析対象は研究協力が得られた91名とした。分析の結果、予習をしている者90%(eラーニング利用率95%)、復習をしている者41%(eラーニング利用率77%)であった。予習あるいは復習をするか否かによってMSLQに違いがあるのか否かを検討した結果、予習においてはMSLQに差異は見られなかったが復習においては違いがみられ、復習をする者では復習をしない者よりもMLSQが高くなっていた(p=.042)。