日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 43
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第46回大会口頭発表
高等学校家庭科教育における自己実現と経済的自立に関する教育内容の探究
*志村 結美佐藤 文子
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抄録
【目的】
   自己実現を図り、自立した生活を送るためには、青年期において将来的展望をもつことが必要であり、高等学校家庭科教育の生活設計においても、主要な課題となっている。  
そこで、本研究では高校生の自己実現をめざした経済的自立及び職業生活を始めるための準備意識、すなわち職業レディネスに関する認識と行動を向上させるために、高等学校家庭科教育において求められる教育内容を追究することを目的とする。
 前報までにおいて、高校生は自己実現に対する意欲や経済的自立志向等を持っている一方、具体的な経済観念や家計管理行動、及び具体的な職業認識について低い傾向にあること、自己実現と経済的自立及び職業レディネスに関する認識と実態には関連性があること、カナダ(アルバータ州)の高校生との比較により、自己肯定感が低く、将来の職業への可能性に自信がもてない等の現状が認められた。  
また、高等学校家庭科教員の調査より、自己実現、経済的自立及び職業レディネスに関する個々の内容は、「生活設計」分野等において授業がなされているが、この3つを関連させた授業を行なっている教員は3割弱であり、あまり実施されていないことが明らかとなった。また、自己実現、経済的自立及び職業レディネスに関する教育内容を重要であると捉えているが、実際の授業の実施状況がその認識に伴っていない現状が認められた。  
そこで、本報では自己実現、経済的自立及び職業レディネスにおける高等学校家庭科教員の授業の実施状況、重要視度、高校生の認識と実態の関連性を分析・検討した結果をふまえて、高等学校家庭科教育において求められる教育内容を追究する。
【方法】
 まず、自己実現、経済的自立及び職業レディネスに関する高校生の認識と実態調査、高等学校家庭科教員の認識と実態調査の二つの調査を行い、両者の関連性を分析・検討し、高等学校家庭科教育における課題を明らかにした。次に、課題をふまえた高等学校家庭科教育のカリキュラム構想をし、さらに、東京都公立高等学校K高校等において授業実践を行い、構想案の妥当性の検討を行った。  
【結果】
  高等学校家庭科教員と高校生の認識と実態の関連性の検討により、高等学校家庭科教員が重要であると考え、実際に授業展開しているジェンダー、消費者問題、環境問題といった視点からの経済的自立に関する教育内容等において、高校生の認識や実態が低いこと等が認められ、高等学校家庭科教育におけるいくつかの課題が明らかとなった。これらの課題を踏まえて、自己実現、経済的自立及び職業レディネスを総合的に捉えた高等学校家庭科教育におけるカリキュラムを構想した。カリキュラム構想において、社会の現状を具体的に把握させることにより、自らの生き方や社会の一員としての在り方を具体的に捉えることができるよう試みた。また、教員は正確に高校生の実態を捉えきれていないという課題が明らかとなったことにより、高校生の実態に即した指導の在り方を工夫した。授業実践を通して、自己実現、経済的自立及び職業レディネスを総合的に捉えさせ、生徒に将来的展望を具体的に考えさせることができ、本カリキュラム構想案は、有効であると認められた。
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© 2003 日本家庭科教育学会
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