抄録
【目的】新教育課程が、小・中学校では2002年度、高等学校では2003年度から完全実施された。またその中で、具体的なカリキュラム作りが、児童・生徒の実態を把握することは急務である。一方、北海道では、道央・道南・道北・道東の各地区によって、気候ばかりでなく、人口・産業構成も大きく異なる。また、道内の約半数の小学校はへき地級を有するなど、子どもたちのおかれる学校および生活環境も様々である。ゆえに,それらに大きく関わる社会および家庭環境の違いは、子どもたちの身近な家庭生活にも、影響を与えているのではないかと思われる。
北海道地区として、2001年に全国調査として行った『家庭生活についての調査』の1200名に加え、同時に計3,725名を対象に調査を行った。そこで本研究では、その結果の中でも特に家庭のはたらきと家族についての意識(問9および10)に注目して、まず、全国調査の結果と比較分析を行った。さらに、地域特性の視点から、支庁別・都市規模別・へき地級別のそれぞれの項目でデータを分析し、北海道地区の児童・生徒の実態を明らかにし、カリキュラム作りへの指針を得ることを目的とした。
【方法】調査方法は全国調査と同様である。調査対象校は、道内に所在する公立の小学校19校、中学校16校、高等学校24校の計59校であった。また、調査対象者は、小学校4年男子361名・女子363名、小学校6年336名・女子388名、中学校2年男子469名・女子467名、高等学校2年男子681名・女子660名の合計3,725名であった。分析には集計ソフトSPSSを用いて分析した。
【結果】全国調査と比較して、差が大きかった調査項目は「家庭生活の大切な働き(やくめ)」(問10-1)で、〈くらしに必要なものがある〉〈子どもをよい人間に育てる〉〈老人や病人などが守られる〉〈近所の人や友だちとつきあう〉がいずれも北海道地区の方が2%以上低かった。
支庁別によるクロス集計からは、「帰宅後その気持ちになる理由」として、全体としては、〈ゆっくりできる〉〈すきなことができる〉〈家に帰るのが当たり前だから〉の順で多かった。〈ゆっくりできる〉では上川で0.1%、〈好きなことができる〉では上川・留萌で1%、〈わからない〉では空知で0.1%、〈家にだれかいる〉では十勝・根室でそれぞれ1%の危険率で有意差が認められた。
都市規模別によるクロス集計からは、「学校や外から家へ帰ったときの気持ち」として、全体としては、〈ほっとする〉〈何も感じない〉〈うれしい〉の順で多かった。〈ほっとする〉では中都市、〈何も感じない〉では郡部市町村,〈うれしい〉では中都市,〈わからない〉ではへき地等級ありのその他の地域、〈家にいりたくない〉では中都市で、それぞれ1%の危険率で有意差が認められた。さらに、「帰宅後その気持ちになる理由」として、〈ゆっくりできる〉では中都市1%の危険率で有意差が認められた。
へき地級によるクロス集計からは、「学校や外から家へ帰ったときの気持ち」として、〈何も感じない〉ではへき特、〈わからない〉ではへき地級なし、〈家に入りたくない〉と(無回答)ではへき2で、それぞれ1%の危険率で有意差が認められた。さらに、「帰宅後その気持ちになる理由」として、〈家にだれかいる〉ではへき特で1%の危険率で有意差が認められた。また、「家庭生活を明るく楽しくするために一番大切なこと」として、〈わがままを言わないようにする〉ではへき準で0.1%の危険率で有意差が認められた。
なお、[二次分析]に当たり、日本家庭科教育学会「家庭生活についての全国調査」(科学研究費基盤研究(A)(1)課題番号13308005)の個票データの提供を受けました。