日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第46回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 76
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2003年度例会研究発表
パリ大学区内公立小学校における休日保育制度
-短期・夏季休暇保育を中心に-
*岡芹 愛子
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抄録
【目的・方法】 現行の高等学校学習指導要領では、普通教科「家庭」において、男女共同参画社会の推進や少子高齢化への対応を考慮することとされている。そのため、生活設計や保育に対する社会の果たす役割という下位項目の中で、将来高校生が親となった場合に保育サービスを利用しながら仕事等と育児を両立させたいかどうか展望をもち、子育て支援について理解し考えるよう指導することが求められているといえる。この点に関し、現在小学校低学年児の保育施設への受け入れ態勢の不足が指摘されている。そこで児童福祉法を初めとして放課後児童健全育成事業の充実が重視されるようになっている。しかし、放課後のみではなく、夏季、冬季、学年末休暇中の学童保育のニーズも高まっていると思われる。他方、先の日本家政学会第55回大会における口頭発表の通り、パリ大学区所管の公立小学校(ecole elementarie:6才で入学し修業年限5年)では休日保育(centres de loisirs)が実施されており、水曜日及び土曜日について報告した。そこで本研究では、パリ大学区内公立小学校において短期休暇(petites vacances)計4種(万聖節・クリスマス・冬季・春期休暇)と夏期休暇(vacances d'ete)計年間16週に行われている休日保育制度を分析し、日本の子育て支援策をしての学童保育の在り方に対する示唆を得ることを目的とする。2002-2003年度の制度を対象とする。
【結果】パリ大学区内公立小学校における休日保育制度には下記の特質があり、フランスは日本より25歳~49歳の女子労働力率や合計特殊出生率が高いことからも、仕事等と育児との両立促進という子育て支援機能を果たしていると思われる。
?学童保育専用の施設は設置されていない。パリ大学区内公立小学校計331校(同大学区内小学校の73.6%)のうち、短期・夏期休暇のいずれに関しても、一部の小学校において月曜日から金曜日(祭日を除く)の8:20~18:00に休日保育が実施されている。短期休暇中は午前のみの利用となっている。学校グループ(groupe scolaire)の小学校においても開設され、前期初等教育機関である母親学校(ecole maternelle)の休日保育を利用する幼児のいる家庭に対し送迎への配慮がなされている。
?1日当たりの料金は、半日保育と1日保育に共通で、各世帯の家族係数(quotient familial)により決定される。食事なしを希望する場合は無償~3.51ユーロの5段階、食事付きを希望する場合には無償~7.01ユーロの5段階にそれぞれ分類されている(2002-2003年度)。世帯の収入の多少に関係なく休日保育に参加できるよう考慮されている。この他に学校保険(assurance scolaire,年間1.83ユーロ:2002-2003年度)への加入義務がある。
?パリ市内に在住または在学の12歳以下の児童全員が対象である。市内外の私立校在籍者にも参加資格があり、地域に開かれた制度となっている。出願に際し、「保育に欠ける」という条件はなく、待機児童問題もみられない。
?有資格者である余暇指導員(animateur)が一名につき児童12名以下の基準という少人数主義で指導を担当する。指導員が児童の年齢に適した多種多様の活動を計画し、保護者が選択する活動に子どもが参加する。夏期休暇中は校外活動が中心となる。 今後の高等学校家庭科の授業においては、児童手当等の社会保障制度、育児休業制度の充実、雇用形態や勤務時間の多様化等ともに、上記の特質にみられるような保育サービスの整備について取り上げながら、生活設計や子育て支援策についての学習指導を行うことも必要であると考える。
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© 2003 日本家庭科教育学会
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