日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第48回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 35
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第48回大会 口頭発表
若者が生活を捉える視角に関する質的研究
グランデッド・セオリー・アプローチを用いた分析
*荒井 きよみ伊藤 葉子
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抄録
【目的】今、家庭科教育に求められることは、生徒の生活現実につながる視角から生活者としての自立を育んでいくことだと考える。そこで、生活をめぐるヒト・モノ・コトを基点にその複合的な様相に気づかせ、様々な価値観を知った上で生活者としてのアイデンティティの確立を目指して高校家庭科の授業実践を行ってきた。本研究では卒業生に面接調査を行い、この授業実践が彼らの生活現実にどのようにつながっていったのかを明らかにすることとする。同時に、現代社会に生きる若者がどのような視角から生活という営みを実感しているのかを捉え直し、これからの家庭科教育への示唆を得たいとも考えている。この若者の生活現実とのつながりや彼らの視角を捉え直すためには、解釈による意味の探索を重視する質的な方法が適していると思われる。本研究では絶えず変化している社会的現象の解釈に依拠する割合の高いグランデッド・セオリー・アプローチを用いて分析する。なお、面接調査の分析の際に、授業実践後の感想も参考資料とした。
【方法】対象:2002年度_から_2003年度に家庭一般を履修した20歳の男女9名(大学生7名・専門学校生2名)実施時期:2005年1月_から_3月面接調査:一定の質問に従い進めながらも、対象者の語りに沿って情報が得ることが可能である半構造化面接を行った。聞き取り時間 60_から_100分質問項目
 1 家庭科でどのような授業が印象に残っていますか
2 家庭科の授業で役に立っていることはありますか。授業内容(対象者が高校1_から_2学年時に実施):2年間を通じて5領域を扱うのではなく、領域の枠にとらわれずに「アイデンティティの探求」という一つのキーワードで授業を編成した。まず、1学年(2単位)では家族・保育・衣生活・住生活を融合して、これらを時間軸と空間軸で組み換え、授業を行った。2学年(2単位)ではグリーンコンシューマーとしての視点から、消費生活を中心に食生活を展開して行った。
【結果】 面接調査からトランスクリプトをおこし、木下康仁の修正版M_-_GTAを用いて分析した。この分析方法ではデータの切片化はせずに、データの解釈を行い、概念を生成していく。トランスクリプトを何回も読み返した結果、家庭科の授業の印象を言語化するレベルには個人差があること、各授業内容と今の生活とを直線的に結びつけることは難しいことが示されたので、分析テーマを「彼らがどのような視角から生活を捉えているのか」にし、そこから家庭科の授業を捉え直す示唆を得ることとした。まず、この分析テーマに沿って、対象者データの着目した箇所に関してできるだけ多角的に検討し、概念を抽出した。概念例としては、「薄っぺらな土台の発見」「ひとりぼっちの時間のバランス」「形から思い出せる情景」などが挙げられる。例えば、「薄っぺらな土台の発見」は、「もともと自分でも薄っぺらい土台があって、家で仕込まれていたものとかあったんですけど、たいしたことではなくて、基本的なことだけ。」や「自然に人にうめこまれていることが、知識として自分が得て、意識できればいいんじゃないですか。」などの箇所から抽出されたものである。これらの概念からカテゴリーを生成し、若者が生活を捉える視角を表していく。その上で、若者の生活現実につながるような家庭科の授業のあり方を考えていきたい。
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© 2005 日本家庭科教育学会
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