日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第49回日本家庭科教育学会大会
セッションID: 8
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第49回大会 口頭発表
「自己実現」と「家庭を創る」との関連性
*那須 智子佐藤 文子
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キーワード: 家庭科, 自己実現, 家庭創造
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抄録

研究目的
 社会に出ることを目前に控えた大学生がどの程度自己実現を志向して生活をしているのか、また、家庭の創造をどのように捉えているのか等を明らかにし、大学生の意識において「自己実現」と「家庭の創造」にはどのような関連性があるのか、追究することを本研究の目的とする。
研究方法
 調査対象は、東北、関東、関西に属する国立、私立大学の教育学部、文系の学部、医学部合計381名であった。調査期間は2005年7月~10月で、質問紙留置法による計74項目のアンケート調査を実施した。調査内容は自己実現、家庭の創造を中心に、性別役割分業観、キャリア意識、家事育児能力等である。
結果
 全体の傾向として、社会的自己実現を果たすために家庭を創ることは重要である、結婚・育児(出産)はプラス要因であると考える人の多いこと、家庭を創り子どもを持つことに対して意欲的であること、男性の家事育児能力を重視していること、自己実現に対して積極的であることが認められた。一方で、子どもを持つ家庭の創造への実感が薄い、また、就きたい仕事は決めているが、そのために必要なものを具体的に理解していない層の存在が認められた。
 性別による比較では、男性は、女性と比較して、自己実現と就職に向けての意欲が高いこと、家庭内でのパートナーへの依存性が高い傾向にあること、性別役割分業観が強いことが認められた。女性は、男性と比較して、男性の家事育児能力を重要視していること、家庭志向が強く、理想の家庭像を明確に持っていること、現実に就職し家庭を持った上でのことを深く考えていることが明らかとなった。
 学部による比較では、教育学部生は、他学部生に比べて、社会的自己実現を果たすために家庭を創ることは重要であり、結婚や育児は有利に働くと最も強く考えており、子どもを持つ家庭の創造に対し最も積極的かつ自らの理想の家庭を理解しそれを実現化することへの意欲が高いことが明らかとなった。医学部生は、他学部生に比べて、キャリア意識が強く、就業と自己実現への意欲が高いことが明らかになった。家庭志向が低く、家庭生活よりも職業生活をより重視する傾向にあり、パートナーの仕事の去就に対する願望、家庭の仕事におけるパートナーへの依存が最も高いこと、男性の家事育児能力の必要性の認識が低いことも明らかとなった。文系学部生は、他学部生に比べて、職業と自己実現、子どもを持つ家庭の創造への意欲が低いこと、家庭志向が強く、共働きを望む傾向が高いことが明らかとなった。
 自己実現の志向性による比較では、自己実現の志向性が高い層は、理想の家庭像が明確であり、子どもを持つ家庭の創造や職業に意欲的であること、家庭内でのパートナーへの依存性が高いことが明らかとなり、パートナーの自己実現のために協力する姿勢が窺えた。自己実現の志向性が低い層は、子どもを持つ家庭の創造や職業に対して消極的であった。また、家庭志向やパートナーが仕事に就かないことへの願望が強く、全体的に性別役割分業意識の高いことが明らかとなった。一方、自分の家庭が「夫が家庭で妻が仕事」という形態を自らの家庭で選択することも有り得るという肯定的な回答が高く、柔軟な姿勢が窺えた。
 今後は、本研究を更に発展させ、両性が平等に自己実現を達成できるような男女参画の家庭を創るために必要な考え方、最低限の技術、パートナーの自己実現に対する理解の程度等を追究していく。
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© 2006 日本家庭科教育学会
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