日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第55回大会・2012例会
セッションID: P17
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第55回大会:ポスター発表
生活技術としてのストレス低減への取り組み
「生きる力」育成を視野に置いた基礎的試み
*得丸 定子石澤 美代子名嘉 一幾
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抄録
【目的】家庭科は生活技術を基礎に置く「生きる力」育成に関連の深い教科である。現代では学校現場でも、教師と子どもの双方共に過剰なストレスに曝され「生きる力」へのマイナス影響が危惧されている。特に、児童は、自分の生活体験からストレス対処法を見出すことは難しく、自分のストレス反応をうまく大人にも伝えられず、我慢しているという実態が報告されている。しかし、子どもへのストレス低減教育はほとんど行われていない。ゆえに、本研究は、家庭科や総合の時間を将来的視野に置いた「生きる力」育成の一環として、呼吸法を中心とした簡単な瞑想を実践し、今後の家庭科や生活に関する教育への導入可能性の知見を得ることを目的とした
【方法】対象者は飛騨高山市内の公立K小学校3年生22名、実施期間は1ヶ月であった。瞑想種類は呼吸法とボディスキャンで、実施時間帯は朝の最初の授業で5-10分程度、回数は週2-3回行った。評価はアンケート調査を行った。その内容は(1)属性と生活習慣を含む6項目,(2)独立協調性尺度4項目、(3)学習志向性4項目、(4)友人関係2項目、(5)学習意欲7項目、(6)自由記述1項目の合計24項目で(属性以外は5段階尺度)、対象校教員の要望を重視して項目を設定した。
【結果及び考察】(1)属性と生活習慣については瞑想前後で有意な差は見られなかった。
(2)独立協調性では、下位4項目の中の「他者重視傾向」t検定結果、探索発見型研究として有意な傾向がみられた(p<.15)。本結果は、付和雷同行動が減少傾向を示し、独立心が高まる傾向になったと解釈できる。
(3)学習志向尺度の下位4項目の中の「協同思考」についてt検定を行った結果では、有意差は見られなかったが、サイン検定結果では、瞑想1か月後の結果、共同思考の逆の「助けあいながら勉強したくなくなった」傾向が強まった児童はその逆の傾向をみせた児童より有意に多かった。このことは、おもいやり育成に反するように思われるが、このことについては、次の「友人関係」項目の考察と合わせて述べる。
(4)友人関係の下位項目の中の「ふれあい」について対応のあるt検定(p<.05)、サイン検定(片側)(p<.05)結果は、ともに有意差が確認され、「ふれあい」傾向が強まったといえる。このことは、上記の「協同志向」結果と関連しており、瞑想1か月後に「助け合いながら勉強したくなくなった」傾向が見られたが、瞑想逆効果というよりも瞑想することによって、他人と意見が違っていることを受け入れ、また瞑想途中経過として道徳に反する気持でも、正直に話す傾向が表れたのかもしれない。今後瞑想を継続することにより、今後瞑想を続けることによりどのように変化するのかが期待される。瞑想を続けることにより、非おもいやり方向にも変化するのではないかとの考察については、これまでの調査結果では、カルトを除き、禅やマインドフルネス瞑想を深めることにより人格的なプラス方向の結果が多く示されているので、「非おもいやり」の増大にはつながらないと推察している。先行研究で人格的なプラス方向の結果が出ているとの報告は、大人を対象とした報告ではあるが、人格的に未発達な児童であるからこそ、瞑想により被験者の欺瞞性が薄れた結果であり、また、まず自分自身の欺瞞性を除くことが人格形成の一歩ではないかと推測している。
(5)学習意欲尺度の下位6項目の中の「反持続性」についてt検定結果では有意差は見られなかったが、サイン検定では、瞑想1カ月持続後、集中力が育まれたのではないかと考えられる。これは、傾向性であり、今後瞑想を続けることにより、有意に集中力が高まる可能性がある。
 今後の改善点として瞑想の長期実践、家庭科を含む学校教育へ導入可能なストレス低減授業プログラムの開発、「生きる力」育成評価として、ストレスに関する主観的、客観的(科学的)双方の指標の導入が望まれる。
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© 2012 日本家庭科教育学会
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