日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第55回大会・2012例会
セッションID: 3-3
会議情報

2012年度例会:口頭発表
服飾教育と流行
「衣生活論」における授業方法向上を目指す取り組み
*羽根 裕子
著者情報
キーワード: ファッション, 流行, 創造性
会議録・要旨集 フリー

詳細
抄録
<目的>
 本報は「衣生活論」の授業において学生の受講意欲向上を目指す取り組みである。教員養成大学家庭科選修、専攻学生は衣食住の大きな柱である「衣」の専門知識を深く学んでいるが、将来、教師という社会的立場を担う際に自分自身の衣生活をどのようにデザインしようと考えているだろうか。自分が置かれている環境の中で、どのような服装をコーディネートし、どのように自己表現をするのかを指導した過程を考察するものである。学生生活に身近な女性雑誌やメディアから得られる「流行」情報を教材に使用し、より衣生活のデザインを身近に感じさせることから始め、将来の衣生活設計における創造性をも高めたいと考える。また、2011年に日本を襲った東日本大震災は社会、経済に多大な打撃を与え、直接被害に遭わなかった人々にも心理的に大きな影響を与えていると思われる。震災後、学生の衣生活に対する意識が変わったと予測し、前報の結果と比較し考察したいと考える。今後の服飾教育に「流行」のキーワードを取り入れる指針にもなると考える。教師として教壇に立つときに何をどのように着るべきかを考えさせることにより、積極的に授業に参加する意欲を向上させ、創造性、表現力を高める目的である。

 <研究方法>
 「衣生活論」の授業において、2012年春夏のファッショントレンドを取り入れ、着装コーディネートをデザインする授業を行った。【課程1】2012年春夏のファッショントレンドについてデザイン、素材、色彩の領域からその決定方法と詳細について理解させた。不景気が続く日本に第3の敗戦といわれるほど日本の経済社会に打撃を与えた東日本大震災を経験し、審美性を追求する意欲が減少し、経済性、安全性を重視する傾向が表れると推測するので、前報の結果と心理的要素、機能的要素でどのように差異が表れるかを考察した。【課程2】コーディネートの提案手順は、ユニバーサルファッションのデザインプロセスに従って教師の生活・社会環境の分析、問題点の抽出を行う。それらの問題点の解決点、改善点を把握し、要求されるデザイン要素を考察し、最終的に、教師に求められる機能的要素、心理的要素を充足するコーディネートを提案させた。

<結果と考察>
 学生は、教師になった時の衣生活において何となく着装のイメージを思い浮かべることはできても、何をどのように着るのか、実際にデザインを提案できる学生はいなかった。2011年に東北の震災に見舞われ第3の敗戦といわれるほど日本の経済社会が落ち込んでいる中、流行を追うことへの罪悪感が学生の中にも多くあった。創造性や審美性を追求する傾向が減少した感は多分にある。反対に機能性、安全性、経済性などを重視する傾向が非常に強くなった。特に機能性を重視し、シンプルなデザインで流行を追う色彩を避け、着回しのできるものを提案したいという学生も多かった。しかしながら、無難なltg系、dkg系でコーディネートすると、非常に消極的な着装になり、教師として統率力、威厳、尊敬などの心理的要求が充足されないと分かった。教師になった際に何をどう着るべきかを考えることは、自分自身の生活環境を深く分析することによって明らかになってくる。次の段階で実際に着装コーディネートを提案するためには当該年のファッショントレンドのバックグラウンドを理解し、そのうえで色彩、素材、デザインの各要素を選択し、最終的に自分自身の姿勢や個性を表現できるようになると考える。
著者関連情報
© 2012 日本家庭科教育学会
前の記事
feedback
Top