日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: A3-2
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第57回大会:口頭発表
高等学校家庭科食分野の題材配列の検討
学習意欲の喚起を目指して
*久保田 正芳杉山 久仁子
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抄録
○目的
調理実習は題材の後半に配列されていることが多い。しかし、それでは実習で得た事柄を深める場面は家庭以外になく、気づきや疑問等を学校教育で深めることは難しく関心を深める起点になりにくいと思われる。そこで「調理から学ぶ」といった題材配列を検討したいと考えた。河村・小清水(2006)によると「生徒が確実にその技能を使う状況を設定することによって、調理への意欲や関心を換気することができると考えられる」としており、包丁実習が意欲喚起に資すると考えた。そこで本研究では、題材の導入に包丁技術の向上を念頭に包丁実習を配列し、調理意欲や包丁を扱う自信、食に対する関心の変容を調査することを目的とした。

○方法
対象者:神奈川県立高等学校2年生(24年度4クラス(104名)、25年度3クラス(77名))
科目:家庭総合 2単位(総時間数:26時間(2時間13回))
調査期間:24年9月~25年2月、25年4月~12月
調査内容:配列は、24年度では講義形式の授業8回、包丁実習を2回(2・3回目)、調理実習を3回(4、8、11回目)とし、25年度は講義形式の授業9回、包丁実習2回(2・3回目)、調理実習の2回(7・9回目)とした。包丁実習では24年度はきゅうりの薄切り、25年度はきんぴらごぼう、じゃがいもの皮むき、きゅうりの薄切りを行い、包丁の使い方・切り方を説明した後、技能を調査した。さらに題材開始時及び各実習終了時に調理意欲や包丁を扱う自信に関するアンケート調査を行い、その変容を調べた.

○結果および考察
1.24年度の結果から以下の2点が得られた.
1)包丁実習での習得状況を計測(課題:きゅうり1本を30秒間で2mmの厚さに切る)した結果、出席者(38名)の厚さは2.81±1.24mmであった。また、包丁実習後、調理意欲を喚起することはできたが、1回目だけでは調理意欲が低下傾向にあった。時間の計測が負担となったのではと考えられる.
2)13回全て受講した生徒は21名であった。事前調査で「調理意欲」が低かった生徒は7名で、内5名が最終調査において「以前より調理するようになった」と回答した。事前調査で「調理意欲」「包丁を扱う自信」が低い生徒は包丁実習を経験したことにより技術向上を実感し、「調理意欲」「包丁を扱う自信」が上昇する生徒が多い傾向にあった。さらに「学習意欲」「食に対する関心」も喚起されていた。
2.25年度の結果から以下の3点が得られた。
1)包丁の扱いについて丁寧さ・正確さを求め指導した結果、前年度のような意欲の低下はみられなかった。習得状況を計測(課題:きゅうり1/2本を2分以内で1mmの厚さに切る)した結果、出席者(46名)の厚さは2.62±0.85mmとなり、前年度に比べ相対的に包丁の扱いが丁寧になったと判断された。
2)13回全て受講した生徒は24名であった。最終調査において、包丁実習を行ったことで「調理意欲、学習意欲ともに高まった」と回答した生徒が24人中15人となり、意欲を喚起できたと思われる。
3)本学習が食生活にどう影響を与えているかどうかを記述させたところ「最近では家族の分も作るようになった。」「以前より食について意識するようになった。」「なるべく栄養のあるもの、量を考えて食べるようになった。」など「家庭での調理実践」の記述は4件、「食生活改善」の記述が7件、両者を含むものは4件となり学習効果が現れていることがわかった。

○まとめ 包丁実習を最初に配列することで包丁技術の向上を実感することができ、調理意欲や包丁を扱う自信を高められ、さらに、食に対する学習意欲や関心が喚起されたと考えられた。授業者の実感として、題材配列を変更する以前と比べると、より自らの生活課題を発見し、解決していこうとする態度が現れていると感じられた。今後は題材配列の効果を深く検証するため、他校との情報交換等も行っていきたい。 参考文献 河村・小清水(2006)『調理実習で生徒は何を学んでいるのか』埼玉大学研究紀要、55(2)、p31-40
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© 2014 日本家庭科教育学会
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