抄録
目的
学校教育における防災教育の充実が求められる中、教育現場では、限られた時間の中で効果的に行うために、各教科で行えることの整理と具体的な授業等の開発が重要である。本研究では、防災の視点を取り入れた中学校技術・家庭科(家庭分野)住居領域の教材開発を行い、中学校技術・家庭科(家庭分野)住居領域の指導の充実を図るとともに、防災に対する生徒の意識を高めることを目的としている。
方法
研究方法は、昨年、報告を行った「防災の視点を取り入れた中学校技術・家庭科(家庭分野)住居領域の教材開発」の1)有効性を検証するとともに、2)教育現場への普及に向けた検討である。具体的には、1)については、鹿児島県内の2つの中学校で実施(授業実施日:2013年5月8・16・24日にて4クラス、2014年2月10・12・14・18日にて8クラス)し、①授業者へのヒアリング調査、②生徒へのアンケート調査を行った。2)については、鹿児島県総合教育センターが開設している講座にて、中学校、高等学校の教員(6名)を対象に、①模型教材の作成、②教材の導入についての研修(2014年2月1日)を行った後に、アンケート調査ならびにヒアリング調査を行った。
結果
1)開発教材を使った授業は、技術・家庭科(家庭分野)C衣生活・住生活の自立「住居の機能と住まい方」において実施した。開発教材への反応としては、生徒(370名)へのアンケート調査からは、(1)学習した安全な住まい方について、①授業が終わった後に誰かと話しをしたかという問い(複数回答)に対しては、「家族と話しをした」115票、「友達と話しをした」45票であった。②対策を自分の家で行なったかという問い(複数回答)に対しては、「寝る場所の安全確保」104票、「避難経路の確保」57票、「家族間や地域での対策」19票であった。(2)学習を通して、①住生活への興味・関心が高まったかという問いに対しては、「高まった」26.2%、「まあまあ高まった」64.0%、②自分自身の防災の意識は高まったかという問いに対しては、「高まった」33.0%、「まあまあ高まった」57.2%であった。(3) 視聴覚機器や模型を使った学習については、①~⑩の質問項目を設け、全くそう思わない(1点)、そう思わない(2点)、どちらともいえない(3点)、そう思う(4点)、非常にそう思う(5点)の5件法で回答を求めた。その結果、①意欲的に取り組めた4.12(SD:0.82)、②学習内容への興味・関心が高まった3.95(0.87)、③学習内容への知識・理解が深まった3.96(0.85)、④学習課題を自分なりに考えて工夫できた3.67(0.92)、⑤グループ内での話し合いがしやすかった3.95(1.02)、⑥他の人へ自分の意見を伝えやすかった3.65(1.02)、⑦発表しやすかった3.38(0.98)、⑧学習内容を具体的に考えやすかった3.86(0.94)、⑨授業が楽しいと感じた4.03(0.99)、⑩このような授業をもっと受けたいと思った3.90(1.03)であった。
2)教育現場への普及に向けた検討については、模型教材の作成にあたっての難易度は、全ての者が「適当であった」と回答し、授業での活用についても「大いに期待できる」4名、「期待できる」2名であった。また、模型教材を「住まいと安全」の内容で活用することに対しては、全ての者が「有効的である」と回答した。今後は、他の学習内容ならびに他校種への発展の検討を行う。