日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第57回大会・2014例会
セッションID: P17
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第57回大会:ポスター発表
小中高の発達段階における家族との関わり方と住まい方に関する一考察
*川邊 淳子
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抄録
【研究の背景および目的】家族とは,人間が生まれて初めて帰属する集団であり,家族関係は生きていく上での人間関係の基盤となる。家族関係を築き,家庭生活を営んでいく場が住まいである。家族の規模の縮小が進むことによって,「閉じる・間仕切る」ことが重要視されるnLDK型の住まいが主流となった。住まいは次第に家族内のプライバシーを守る形へと変化し,家族間のコミュニケーションが希薄となる一因にもなっている。一方,家庭科教育においては,家族と一緒に気持ちよく住まうための工夫を考えることや,住まいの中での家族との関わり方を考えることが取り扱われている。このように,住まいを無機質なものととらえるのではなく,住まいが家族との関係を築く空間とされており,住まい方が現代の多様化している家族関係の形成に大きく関わっていると捉えられている。家族が生活を共にする空間である住まいの中で,家族との関わりがどのように行われているのかを検討していくことは,多様化する家族関係を捉えるための重要な指標になると考える。そこで本研究では,家族との関わり方と住まい方の実態を,小・中・高校の発達段階において明らかにすることを目的とした。
【方法】家族との関わり方と住まい方に関する実態を把握するために「アンケート調査」と「家族関係単純図式投影法による調査」を同時に実施した。実施時期は2012年11月上旬~下旬,調査対象は旭川市内の小学5・6年生150名,中学2年生121名,高校2年生154名であった。集計・分析にはExcel2007およびSPSS16.0を用いた。
【結果および考察】住まいの中で,小学生ではリビングなどの家族が集まる空間を,中・高校生では一人きりになれる空間を,居場所だと感じていた。小学生では,居場所に対して「家族とのつながり」や「被受容感」を求めているのに対し,中・高校生以降では,自分一人で自由に好きなことができるといった「行動の自由」や「思考・内省」を求めていることが示唆された。
 家族との会話の内容とその相手について校種間で有意差が認められたのは,「遊びや趣味について父と話す」,「遊びや趣味について母と話す」,「勉強や成績について妹と話す」,「友だちについて母に話す」,「近所や地域について父と話す」,「社会の出来事やニュースについて父と話す」の6項目であった。会話の相手については母が最も多く,家族のコミュニケーションの中心になっていた。校種が低い方が,母親に次いで父親がコミュニケーションにおいて大きな役割を果たしており,校種が高くなる程,コミュニケーションの幅が両親からきょうだいへと広がっていた。
 生活行為を行う場所については,リビング,自分の部屋,ダイニングが主なものとしてあげられた。校種が高くなるにつれリビングでの生活行為が減り,自分の部屋での生活行為が増えていた。小学生で家族の関わりが多く見られた生活行為は,「睡眠をとる」「朝食をとる」「夕食をとる」「休養をする」「団らんする」「テレビをみる」の6項目であったが,中・高校生では,「朝食をとる」「夕食をとる」「団らんする」「テレビをみる」の4項目であった。小学校から中学校にあがる段階で,生活行為の中で家族との関わりが少なくなっていた。
 家族関係単純図式投影法による家族認知では,最も健康な家族関係なのがⅢ型,不健康な家族関係の危険性があるものがⅣ型であった。Ⅰ・Ⅱ型では,同じ型の中でも,校種によって家族の認知が異なっていた。小学生では,物理的距離に関する自由記述が多く見られたことから,家族関係を心理的側面で捉えることが難しく,家族との物理的距離が心理的距離に深く関連していた。中・高校生では,家族関係を心理的側面から捉えられ,家族を客観的に見つめることができていた。 
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© 2014 日本家庭科教育学会
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