日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第59回大会・2016例会
セッションID: P11
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第59回大会:ポスター発表
高校生の体格に関する意識と家庭科指導への援用
‐BMIと体脂肪率との関係から‐
*山崎 真澄池﨑 喜美惠
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キーワード: BMI, 体脂肪率, 高校生, 家庭科, 体格
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抄録
〈目的〉
  BMIに関して厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)の概要」の中でエネルギー摂取量及び消費量のバランス(エネルギー収支バランス)の維持を示す指標として、18歳以上の人には「体格(BMI)」を採用することとなった。
  高等学校家庭科で、食物分野の導入の際、教科書にも多く掲載されているBMIを用いることがある。その際、生徒から「BMIは身長と体重のバランスだけで痩せているや太っていると決めるけど本当にいいの?」という様々な質問や意見があげられた。このことから、BMIに加え体脂肪率を参考数値として取り入れることにより、食事と運動のバランスを考えた身体のコントロールが可能になるのではないかと考えた。
  本研究では、高校生の体格の現状と健康意識の傾向を把握し、その調査結果をふまえ、家庭科食物分野の授業を有効的に進めることができるよう検討することを目的とする。

〈方法〉
  2014年10月及び2015年10月に、陸上自衛隊高等工科学校約600名の男子生徒にアンケート調査を実施した。アンケート項目は身長、体重、BMI、体脂肪率、家庭科に関する意識調査、現在の体に関する意識調査、サプリメントの摂取状況などである。

〈調査対象の特性〉
  陸上自衛隊高等工科学校は、日本全国の中学校から生徒が入学する全寮制の学校である。生徒は神奈川県通信制の生徒として単位を取得し、高等学校の卒業資格を得ることができる。全寮制であるため、基本的には、3食とも栄養計算された食事を食堂で全員が同じものを食している。

〈結果及び考察〉
1.本校の高校生のBMIは、やせ4.5%、普通92.3%、肥満3.2%の割合であり、厚生労働省の国民健康栄養の現状と比べよい結果だった。
2.株式会社タニタの数値を参考にして、体脂肪率の基準値を、やせ、-標準、+標準、軽肥満、肥満の5区分に分類した。アンケート対象者の体脂肪率は、やせ22.3%、-標準70.6%、+標準6.8%、軽肥満0.3%の割合であり、肥満に当てはまる生徒はいなかった。
3.BMIで標準だった生徒の体脂肪率はやせ19.6%、-標準75.5%、+標準4.5%、軽肥満0.3%の割合であった。BMIで肥満だった生徒の体脂肪率は-標準20%、+標準80%の割合であった。BMIが標準の範囲だが、体脂肪率では軽肥満の範囲にあてはまる生徒がいた。しかし、BMIで肥満の範囲だった生徒は、体脂肪率で軽肥満の生徒がいなかった。このことから、BMIの数値のみを食事摂取基準の参考値とするとなると、BMIで標準の範囲だった人は安心感を持ち、食事に対する意識を変えることが難しいのではないかと考えられる。
4.全体では体重増加を望まない生徒が多い傾向にあったが、BMIが低い生徒は体重増加をしたいと考えている傾向にあることがわかった。
5.体重増加を望まないが、筋肉を付けたいという生徒が約50%いた。筋肉量が増えることは体重が増加することにもつながるので、筋肉増加と体重の関係を正しく理解させることが必要であると考える。
  以上のことから、BMI以外に体脂肪率も参考とし、食事摂取基準について説明することにより、正確な知識を身につけさせられると思う。また、サプリメントを摂取している生徒のうち、プロテインなどのたんぱく質を栄養源とするサプリメントを中心に摂取している生徒が多くみられた。体重増加を望まず筋肉をつけたいという生徒の中にはプロテインを摂取することにより筋肉が付くと考える生徒もいる。生徒が体格に関してどのような認識を持っているかを把握したうえで栄養素の授業を行えば、生徒が主体的な活動ができる授業の実践が可能になると考える。調査対象校に関していえば、たんぱく質の働きと過剰摂取の問題やサプリメントの上手な摂取方法について授業の中に取り入れることにより、各栄養素の働きをより身近に感じさせられることが可能となるだろう。
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© 2016 日本家庭科教育学会
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