目的 子どもたちの生活経験不足に由来する生活技能の低下もあり、家庭科教育における被服製作実習が抱え
る課題は山積している。また、めまぐるしく変化する現代生活のなかで被服や衣生活も日々変貌し、子どもた
ちの生活と家庭科で取扱う教育内容との乖離を指摘できる。被服製作実習を中核とした学習を通して有用
感や実用感、達成感などを伴った知識や技能を獲得し、子どもたちの成長・発達に寄与する実践が望まれ
る。
本報告では、材料の特性(本研究では「熱可塑性(:ヒートセット性)」)に着目した実験・実習教材の開発を
行い、開発した実験・実習教材を用いた実験授業を教員養成大学において実施し、実験・実習教材の改善
に向けた検討を行った結果について報告する。
方法被服材料の特性に着目した実験・実習教材の開発にあたり、「熱可塑性を利用した教材布の実験と評価」
を行い、結果を基に考察した。また、「被服材料の特性に着目した実験・実習教材(今回は「熱可塑性」)に関
する教材研究、ならびに「被服材料の特性に着目した実験・実習教材に関する先行実践の検討」を行った。
上記をふまえ、「被服材料の特性に着目した実験・実習教材を用いた教員養成大学における実験授業を実
施し、実験・実習教材の改善に向けた検討」を行った。
結果
1.「熱可塑性を利用した教材布の実験と評価」について: 報告当日に資料を基に述べるが、ここでは割愛する。
2.「被服材料の特性に着目した実験・実習教材に関する教材研究」、ならびに「被服材料の特性に着目
した実験・実習教材に関する先行実践の検討」について:
1)熱可塑性は、日常生活におけるアイロン・プレスの作業において確認できる現象であり、被服製作実習の
授業においても同様であることから、子どもたちにとって、具体的で実践的な教育内容を内包するといえ、
教材研究の展開と深化が期待できる。
2)被服材料の特性に着目した実験・実習教材として、天然繊維の特性に着目した教材が散見されるもの
の、合成繊維の特性に着目した教材に関する先行研究は見当たらない。また、熱可塑性に着目した実
験・実習教材の開発も見当たらない現状にある。なお、解くことや解体する過程をふまえた実習教材につ
いては、リフォームや修繕等に関する実習教材が開発されているものの、被服材料の再構成・再利用等
に重点が置かれているといえ、被服材料の特性に着目する視点と結びつけた実習教材の開発は見当たら
ない。
3.「被服材料の特性に着目した実験・実習教材を用いた教員養成大学における実験授業を実施し、実
験・実習教材の改善に向けた検討」について:
実験授業は2時間の単元として構想し、授業実践を行った。
実験授業終了後に実施した自由記述による学生の感想・コメント・意見等をもとに、成果と課題について考
察し、改善に向け検討を行った。詳細については、報告当日に述べるが、実験授業を通して、実験・実習教
材に取組んだ学生の評価から、実習教材の開発にあたり目的とした被服材料の成立ちの理解を基盤とし
た実験・実習教材の有効性や可能性が確認できた一方、指導内容について改善の必要が確認できた。
付記: 本研究は, 優良教材株式会社と北海道教育大学藤本尊子教授の協力も得て行われたことを付記する。
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