日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第60回大会/2017年例会
セッションID: B1-1
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第60回大会:口頭発表
分かる授業で料理の自信をつける調理実習の工夫
ICTを用いた授業実践を通して
加藤 敦子
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抄録
1.調理実習における問題点

 調理実習は、高等学校家庭科の内容の中でも生徒の興味関心が高く、積極的に取り組む生徒が多い分野である。しかし、家庭での調理経験の乏しい生徒に調理手順を理解させるのは難しい。また、小中学校で調理実習を経験している生徒たちではあるが、「みんなで作るのはできたが、1人で作るとなると自信がない」とする生徒が大半である。

 高等学校家庭科では、「家庭基礎」2単位を選択する学校が多く、調理実習が3年間を通して平均3~5回しかとれないという実態がある。また、実習後の振り返り学習をする時間がとれず、生徒の調理実習レポートにコメントを添える程度しかフォローできない現状もある。そのため、家庭基礎のみでの調理技術習得には限界があり、家庭での反復練習に期待したいところである。

 現状の調理実習の問題点を以下の3点にまとめた。

1)調理経験の乏しい生徒に、調理手順を理解させることが難しい。

2)調理実習の事後指導の時間がとれない。

3)調理実習のみで、学んだ調理技術を定着させることが難しい。

 その打開策として、ICT(Information and Communication Technology)の導入を考え、以下の3手段を利用した取り組みを実践した。

(1)調理実習DVD(教科書教師用資料)

(2)インターネット料理レシピ検索サイト

(3)インターネットブログサービス



2.ICT活用の効果

調理実習DVDや「クックパッド」を用いて調理手順を理解しやすくすることで、調理実習時の教師に対する質問が減り、生徒の行動が主体的になった。それに伴い、52%の生徒が、調理実習後、料理への自信が向上したと答えた。料理への興味・関心が、自分で作られることへの実感とつながったのではないかと考える。「クックパッド」は、ネット上でいつでも検索でき、プリントがなくても調理実習で作った料理を反復練習することができる。さらに、その過程において、他のレシピも検索するなど、家庭調理の経験増加につながると考える。

また、ブログへの反応も良く、授業時間外で生徒と授業内容に関する会話が増えた。「ブログ見ました!家でも作りました。」「先生、私の班の料理をのせてくれてありがとう。」などの言葉と共に、よく耳にした意見は、「保護者と一緒に見た」という感想だ。実際に、保護者から、「高校生に、こんな高度な献立調理まで作られるとは驚きました。」との感想をいただいたり、「子どもに冬休みに作ってとリクエストしたのですよ。」と、反復学習への言葉かけを行ってくださったりしている保護者もいた。他教科の先生に、「いいにおいがするけど、調理実習では何を作っているの?」と聞かれた時にブログを紹介することもあったので、学校内外へ家庭科の意義を伝えるための広報活動にも一役かえたのではないかと考える。調理実習において、写真やイラスト入りのレシピは、文章をしっかり読ませる、手順を考えさせるという教育的意図に反するため、再考が必要という意見もある。しかし、家庭基礎の少ない調理実習の中で、調理経験の少ない生徒たちに、効果的に調理を経験させるためには、諸々のデメリットを勘案しても、ICT教材を用いた調理実習の教育的効果は高いのではないかと考える。

今回の試みによって、調理実習にICTを活用することが、ネット世代の生徒たちに、調理そのものを身近なものに感じさせる大きな効果をもたらすと感じた。私は、この効果が何よりも大切だと考える。情報化が加速する社会で、授業にもICTを取り入れることが今後はますます必要になってくると思う。ICTを活用することで、授業の可能性はますます広がると考える。
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