日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第60回大会/2017年例会
セッションID: B4-6
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第60回大会:口頭発表
「ムーミンタウン」をテーマとした家庭科の授業の検討
花輪 由樹
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抄録
1.研究背景と目的
 家庭科は常に自分を主体と考え、その周りの環境である家族や地域、社会とのあり方をよりよくする生き方を探るために、知識や技能を身につける教科である。家庭科の学びの場では特に、学習者が中心におかれ、彼らの生活への興味関心を引き出しながら自分の生活との関連で、学習内容を習得していくことが望まれる。しかし、学習者がそれほど家庭科に興味をもっていない場合や、生活自体に関心をもっていないことも考えられる。そういった場合は、自分の生活ではなく遊びのロールプレイングの中で生活のあり方を工夫する授業展開も一つの案としてありうるのではないだろうか。
 そこで本研究では、小学校教諭を目指す「教科家庭」の大学の授業において、必ずしも彼らが家庭科の専門を目指しているわけではないことから、興味関心が様々にあることを踏まえ、「ムーミンタウンをつくる」ことを授業テーマとして設定し、授業を展開した。本発表ではこの授業事例を通して、1つのテーマを設定し、授業実践を行うことの可能性と課題を探った。
2.研究方法
 関西圏にある教員養成大学で、小学校教諭を目指す3年(17名)、4年(15名)、5年(3名)の計35名が受講する「教科家庭」の授業を対象とした。なお夜間コースであるため、社会人として教員をしながら通ってくる学生も半数近くいる状況であった。また男子24名、女子11名と男女比率に差がある中での授業であった。
3.結果と考察
 15回の授業を通じて、なるべくテーマに沿いながら展開できるように工夫を行ったが、特に衣食住の分野で意識させた。まずムーミンの家を作らせる課題を出し、作ってきた家を持ち寄って、模造紙の上に置きながら街をつくるために必要なモノやコトを意識させて案を出させた。また自分の家の下に敷く庭をつくるために、家と街の雰囲気に合う大きさや形のコースターを話し合わせて、製作させた。そして最後に、調理実習室の片隅に、自分が作ってきたムーミンの家と庭であるコースターを模造紙の上に設置しておき、海苔で形作ったムーミンのおにぎりとセットで置いて写真撮影を行った。
 今回は衣食住のうち、食の分野の調理実習がテスト後に展開されたため、ムーミンタウンづくりを通じての感想などを記載させる時間を取ることが出来なかった。また調理実習の前に、今回のようなテーマを1つ設定しながら家庭科の授業を展開をすることについて、意見をうかがうことは、調理実習後にムーミンタウンの主役であるムーミンが現われる予定であったため、意味をなさないと考えられた。したがって次回の実践では、実習も終えてから学生に感想をうかがうことが課題であり、またムーミンの家族やムーミンの消費活動、環境活動といった、衣食住以外の家庭科学習内容についてもこのテーマで深く触れられるような授業展開ができたらと考えている。
 以上より、本研究では「ムーミンタウン」をテーマとして家庭科の授業を行ったが、何のためにボタンをつけたり裁縫をするのか、何のために炊飯実習をするのかが学習者のもとに実感されにくくなっている時代の中で、遊びを通じて楽しく家庭科を習得してもらう試みの1つとしてありうるのではないだろうか。今回の課題を次の授業実践でも試みていきたい。
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© 2017 日本家庭科教育学会
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