日本家庭科教育学会大会・例会・セミナー研究発表要旨集
第60回大会/2017年例会
セッションID: P01
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第60回大会:ポスター発表
成人未婚子の結婚観から家庭科教育における家族を考える
岐阜県山県市の調査から
三輪 聖子
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キーワード: 結婚, 家族, 家庭科教育
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抄録
【目的】日本の現代社会は少子化が進行し、人口減少期に入った。国は何とか歯止めをかけたいとあらゆる方策を講じ少子化対策に躍起になっている。また、中学校・高等学校家庭科の学習指導要領改訂には「少子化社会対策大綱」を受け「妊娠や家庭・家族の役割については、発達の段階に応じた適切な教育の推進を図る」ことを提言している。このように少子化対策として子どもを生み育てやすい環境を整備していくことは必要だが、日本の場合、未婚のまま子どもを産むことは非常に少ない。子育ての前に結婚をすることが必要になってくる。しかし、生涯未婚率は上昇し、婚姻率も1970年代前半と比べると半分近くの水準になっている。
そこで、結婚しない若者の結婚に対する意識を調査し、その結果から家庭科教育の家族・家庭の意義において中学生や高校生に伝える必要があることは何なのか探ることを目的とする。
【方法】岐阜県山県市の住民基本台帳から無作為抽出により子世代(20~50歳未満)500人、親世代(60~80歳未満)500人を選出し、無記名式質問紙法により調査を実施した。調査方法は郵送にて発送、返送を行った。回収は、子世代(20~50歳未満)118人、親世代(60~80歳未満)217人であった。本発表は子世代118人のうち未婚者30人のデータを使用する。
【結果】本調査対象地域は岐阜市の北部に隣接し、地勢は山地丘陵部が多く、人口約27,000人の市である。2000年頃から人口が減少に転じている。2010年から2015年の3世代同居世帯の減少率は22.5%と非常に大きく、単身世帯は増加傾向にある。特に、高齢者がいる世帯の伸びが著しい。また、男性の未婚率は、30歳~40歳代にかけて全国平均よりも2~6%高くなっている。調査結果から明らかになったことは次の通りである。
・相手がいる人も含めて男女ともに8割近くが結婚願望をもっていることがわかった。
・未婚者のうち、性別に関係なく約8割は結婚相手との出会いがない。
・未婚者のうち、現在約8割の人が婚活をしていない状況であった。結婚を希望する人が8割いるにもかかわらず、何もしていないことがわかった。
・未婚理由の1位は「出会いがない」44.8%であった。2位は「結婚する必要性を感じない」と「経済的に余裕がない」であった。
・独身でいることに将来の不安を感じている人は62.1%いるが特に不便を感じていない人も34.5%いた。
・結婚に対して親や親せきからは特に何も言われない人が43.3%と最も多かった。
以上の結果を踏まえ、家庭科教育の中学校・高校における家族や家庭生活の内容についてのアプローチの仕方を再考しなければならないのではないかと考える。家族や結婚について多様化・個人化を認め、個人の生き方の選択肢の一つとして「結婚」を考えてもよいのではないかと伝えてきたし、社会でもそのような考え方が一般化している。つまり、これらの意識が結婚を希望しているにもかかわらず、結婚相手を探すことに消極的になったり、相手を見つけられなかったりしている。また経済的負担が増え、自己の自由が奪われと考える人も少なくない。それに対し周囲や家族は心配しながらも見守るしかない状況になっている。少子化問題とかかわりながら家庭科教育においても積極的に「結婚」に対する意識付けが必要なのではないかと考える。「結婚」は強制するものではないが、より積極的に捉えられるよう方向付けられるようにする必要があると考える。なお本調査は「山県市結婚に係る調査研究事業」によるものである。
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© 2017 日本家庭科教育学会
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