日本家政学会誌
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真空調理過程におけるセレウス菌の消長
村上 和保門出 清香表 彩子佐藤 佑子竹森 真由美立道 洋子和田 貴臣三好 真理
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2006 年 57 巻 12 号 p. 793-798

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抄録
真空調理法の安全性を評価する目的で, 耐熱性食中毒起因菌であるセレウス菌の真空調理過程における消長を調べた. 実験には牛肉スライスを真空包装にした検体を用い, 加熱条件は, 初回加熱が58℃・40分, 67℃・40分および80℃・15分の3条件, 再加熱は一律80℃・10分とした. なお, セレウス菌の消長を調べる際には, 栄養体あるいは芽胞を実験的に接種した検体で検討した. その結果, 次のような結果が得られた.
(1) 使用した牛肉は加熱前では, 一般生菌数が5.4×104個/g, 大腸菌群およびセレウス菌は検出されなかった. その後, 一般生菌数は, 58℃・40分の初回加熱後でのみ5.4×102個/g検出されたものの, 再加熱後では検出されなかった.
(2) 接種したセレウス菌栄養体 (4.0×104個/g) は初回加熱後に完全に死滅した.
(3) 接種した芽胞 (3.2×102個/g) は初回加熱後で微量生残したが, 再加熱により完全に死滅した.
本実験結果をみる限り, 真空調理法によって作られた料理は概ね安全であるといってよいが, 安全性を確保するためには再加熱工程が非常に重要であると考えられた.
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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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