日本家政学会誌
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開発した子ども用包丁の技能習得への効果
鈴木 洋子
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キーワード: 包丁, 子ども, 技能, 習得
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2006 年 57 巻 3 号 p. 169-177

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抄録

筆者が開発した子ども用包丁を使用して練習を行った際の技能習得への効果を検討するために, 開発した子ども用包丁 (子ども用包丁), 成人用の文化包丁 (成人用包丁), ならびに市販の子ども用包丁に大きさと重さが類似しているむきもの包丁 (むきもの包丁) を使用した際の上達度の違いを, きゅうりを被切断物として練習を行い, 練習前後の切断時間, 被切断物の切断枚数, 厚さより比較した. さらに, 包丁技能の習得には, 被切断物の硬さや粘着性の影響が推察されることから, バナナ, きゅうり, だいこん, にんじんを切断した際について, 上記の測定項目の他に, 動作解析による包丁の動きの違いについて比較検討した.
1) 上達度については, 成人用包丁に比べると, むきもの包丁や子ども用包丁を使用した際に短時間内に薄く切断できるようになり, 20分間の練習による効果が見られた.
2) 粘着性や硬さの異なる被切断物については, 包丁操作時の動作解析より, 子ども用包丁の非切断時間, すなわち1切片の切断終了から次の切片の切断にかかるまでの時間の個人差が, むきもの包丁に比べると少ないことがわかった. 切断時間についても, 子ども用包丁を使用した際の個人差は少なかった. 硬い被切断物を切断する場合, 小ぶりの包丁では力の負担が大きく包丁の動きに勢いがなくなること, 成人用包丁のように大きい形状の包丁の場合も, 包丁の動きに勢いがなくなり, 無駄な動きが多くなることを明らかにした.
3) 以上の結果より, 子どもの手指の大きさと把持力に適した大きさと重さに配慮して開発した子ども用包丁の使用が, 包丁技能の習得に効果的であり, 個人差が表れにくいことより, 特に集団指導に適していることを確認した.

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© 2006 一般社団法人 日本家政学会
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