日本家政学会誌
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母親と父親の調理態度が,家族の共食と中学生の調理態度に与える影響
松島 悦子
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2007 年 58 巻 12 号 p. 743-752

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抄録
本研究の目的は、母親と父親の調理に対する態度が、家族の共食の雰囲気や子どもの調理態度にどのような影響を与えるかを明らかにすることである。東京圏に住む中学生を対象としたアンケート調査結果より、712人を対象として分析した。主な結果は次のようである。(1)「母親の調理態度」だけでなく「父親の調理態度」が積極的なほど、子どもは「共食の雰囲気」を楽しいと感じていた。女子は「母親の調理態度」の影響を強く受け、男子は母親と同じくらいの強さで「父親の調理態度」の影響を受けていた。しかし、親の調理態度は、共食の頻度には影響を与えなかった。(2)「母親の調理態度」とともに「父親の調理態度」の積極性も、「子どもの調理態度」にプラスの影響を与えることが明らかとなった。女子では母親の影響が強く、男子では父親の影響が強い。さらに、「共食の雰囲気」のよさは、「子どもの調理態度」を積極的にした。(3)「母親の調理頻度」が高いほど、「共食の雰囲気」にマイナスの影響があった。母親に食事作りの役割が集中し固定化することは、共食時の楽しい雰囲気を阻害する可能性がある。
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© 2007 一般社団法人 日本家政学会
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