抄録
袖幅のゆとり量の差異が上肢動作に与える影響について,官能評価,衣服圧,筋電図を用いて検討した.着用者は,21~24歳の健康な女子大学生5名である.実験の要因は「袖幅」で3水準に設定した(A:上腕最大囲+11cm,B:上腕最大囲+7cm,C:上腕最大囲+3cm).実験動作は,右上肢5動作である.動きやすさの官能評価の分散分析の結果は,「袖幅」が0.1%水準で有意となり,袖幅が小さい程,動きやすさの評価が低くなった.上腕部の最大衣服圧の分散分析の結果は,「袖幅」が0.1%水準で有意となり,袖幅が小さい程,上腕部の最大衣服圧が大きくなった.筋電図の分散分析の結果は,「袖幅」が5%水準で有意となった.側挙動作では袖幅が小さい程,三角筋の筋活動が大きくなった.官能評価と最大衣服圧との間に相関が認められ,動きやすさの感覚に,上腕部の最大衣服圧が影響を与えていることがわかった.