日本家政学会誌
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衣服の保温性能評価指標としての布の熱移動特性
楊 燕冨田 明美高橋 勝六
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2008 年 59 巻 8 号 p. 583-593

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抄録
布を1枚あるいは2枚装着した回転ガラス瓶中の温水から外気への熱移動実験により種々の素材の布に対する熱移動係数を測定した。布2枚を装着したときの総括熱移動抵抗と布1枚のときの総括熱移動抵抗の差から布1枚の熱移動抵抗を決定した。繊維の熱伝導率と体積分率が等しい場合、布の熱移動係数は布厚に反比例する。また、綿や麻は熱伝導率が大きいので、これらの布の熱移動係数は羊毛、絹あるいはポリエステルの布に比べて顕著に大きくなった。布の熱移動係数は、熱移動係数の最大値を与える布中の繊維の配列が布面に垂直になっているモデルと、熱移動係数の最小値を与える繊維の配列が布面に平行になっているモデルによる計算値の加重平均により推算できることを示した。また、文献中のモデルによる布の熱移動係数の推算値と実測値の比較を行った。
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© 2008 一般社団法人 日本家政学会
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