日本家政学会誌
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発酵月桃熱水抽出物のB16マウスメラノーマ細胞におけるメラニン生成に対する影響
与那 覇恵青木 由美岩渕 まり長幡 友実藤原 葉子
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2013 年 64 巻 5 号 p. 215-224

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抄録

  月桃(Alpinia speciosa K. Schum.)は,古くから沖縄では虫よけ剤,抗菌剤などに使われてきた植物であり,その葉のもつ独特な香りを改善し,有効性を高めた発酵月桃が開発されている.本研究は発酵月桃葉熱水抽出物(HFS)のメラニン生成抑制作用とそのメカニズムを検討することを目的とした.
  HFSはB16細胞の細胞増殖には影響を与えず,濃度依存的にメラニン生成を抑制し,その抑制効果はアスコルビン酸(AsA)よりも大きいことが示唆された.次に,メラニン生成の律速酵素であるチロシナーゼに対す影響を調べた結果,チロシナーゼの反応には直接作用しないが,細胞内のチロシナーゼ活性を低下させた.さらにB16細胞のチロシナーゼmRNAとタンパク質発現量を低下させた.
  また,一連のメラニン産生タンパク質発現を制御する転写因子MITFの発現も減少したことから,発酵月桃葉熱水抽出物はMITFを介した転写レベルでチロシナーゼの発現を抑制し,メラニン生成を抑制することが示唆された.

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© 2013 一般社団法人 日本家政学会
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