日本家政学会誌
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子どもの主観的well-beingにおける「生活評価」指標の枠組みと指標の提案
上坂 美紀中森 千佳子
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2020 年 71 巻 10 号 p. 631-647

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抄録

 子どもの主観的well-being研究は, 「子どもの貧困」など子どもの生活問題や政策に有効であるとして世界的な関心が高まっている. 本論文の目的は, 子どもの主観的well-beingの代表的な指標とされる「生活評価」指標の枠組みと指標を提案することである.

 まず, 国内外の代表的な子どものwell-being指標および主観的well-being指標の分析から, 子どもの「生活評価」のためには, 生活を総合的に把握する枠組みと問題の早期発見・予防を可能にする具体的な生活場面における生活実態を測る指標が必要であることを指摘した. さらに, 実態把握に留まらず将来の自立につながる指標の設定を次の通り提案した.

 総合的な視点による「生活の枠組み」は中山 (1997) に依拠し, 「子どもの生活実態」は「家庭生活を中心とした生活行動」と生活行動を規定する「生活環境」から構成した. 「生活環境」は家庭の物的資源である「物質的条件」と家庭のルールを指す「家庭環境条件」である. これらの具体的な指標は, 「生活的自立」「経済的自立」「社会的自立」「精神的自立」の4つの自立における「自立の要素」から具体的な「生活の場面」を設定し対応させた. また, 生活行動の設定と自立の基準は, 家庭科を中心とした教科の学習指導要領の教育内容を根拠とした.

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