2022 年 73 巻 8 号 p. 525-534
本研究では, 机上の空きスペースと, 片付けの知覚の関係について明らかにすることを目的とし, 机上の空きスペースの「大きさ」と「配置」に着目し, それらが机の観察者の片付けの知覚に与える影響を実験により調べた. 実験では, 空きスペースの大きさと配置が異なる机の画像群を実験参加者に提示し, 片付いていると感じる (片付けの知覚) 順に並べてもらい, その結果を正規化順位法により解析した.
実験の結果, 机の上の空きスペースが大きいほど片付いていると知覚される傾向を確認した. また, 空きスペースの大きさにより片付けの知覚の強弱が変化することが明らかになった. これについては, 図地分離と呼ばれる人間の視覚情報処理が影響している可能性が示唆された.
また空きスペースの配置と片付けの知覚に関する実験結果から, 着席する椅子の前に空きスペースが存在することが, 片付けを強く知覚させることが明らかになった. また, 利き手が届きやすい範囲に文具等が配置されている方が, 片付いていると知覚されることも明らかになった.