日本家政学会誌
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居住継続意向と住民の任意な外出活動に関する研究
―京都市A学区を対象として―
竹原 広実
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2023 年 74 巻 1 号 p. 16-26

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抄録

 本研究は住民の普段の生活の中で任意に行われる外出活動に着目し, 外出活動と居住継続意向との関連から地域コミュニティが活性化する要素を探るものである. 研究は地域コミュニティの維持に課題を抱える京都市A学区の住民を対象に無記名自記入式の質問紙調査を用い行った. J. ゲールの分類を参考に住民の外出活動を必要活動, 任意活動, 社会活動に分類し検討を行った. 居住環境評価について, 満足度評価は6因子, 重要度評価は8因子が析出された. 地域活動の参加度と居住環境に対する総合満足度は居住継続意向と有意に, また重要度評価の第4因子の住民活動は居住継続意向と有意な関係であった. 地域活動の参加度は外出活動頻度総数と, 外出種別では任意活動, 社会活動との間に有意な関係がみられた. 居住継続意向は任意活動頻度総数, 社会活動頻度総数との間に有意な関係がみられ, 居住継続意向と外出活動は関連があることが明らかとなった. 70代以上は外出活動頻度総数は顕著に減少し必要活動も減少するが, 任意活動と社会活動は年齢との関連はない. 社会活動の[知人と交流], [習い事], [地域の活動], [ボランティア活動]の活動頻度総数は相互に相関関係にあり, 任意活動の[庭の世話]は社会活動と相関がある. [知人と交流]と地域活動の参加度は有意な関係で, 個人的な付き合いが地域活動につながることが示唆された. また屋外環境に外出を躊躇する要素があると任意活動, 社会活動の活動頻度に影響する.

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© 2023 一般社団法人 日本家政学会
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