骨量測定を取り入れた教科横断的な食育授業を行い, 1年後に追跡調査を実施した. 本研究はこれらの結果を基に, 中学生の骨量変化の特徴を明らかにすること, 食育授業の有効性を長期的な視点から評価すること, および2度の骨量測定を通じた生徒の気づきを明らかにすることを目的とした.
食育授業と追跡調査に参加した71人を対象とした. 食育授業は, 2021年7月に2年次を対象に実施した. この際, 授業内で骨量測定 (超音波法) と食習慣・生活習慣に関する質問紙調査を行った. 追跡調査は, 2022年7月に3年次を対象に, 骨量測定と質問紙調査を実施した.
骨量の指標であるOSIの平均値は, 男子2年次2.615, 3年次2.748, 女子2年次2.759, 3年次2.831であり, 1年間で増加傾向であった. 食習慣・生活習慣は, 3年次で運動部に所属する者の割合が低下し, カルシウムを多く含む食品の摂取頻度も概ね低下した. 「2度の骨量測定を通じ気づいたこと, 考えたこと」は約8割が記入し, 内容は測定結果への言及 (47人), 骨量に関わる食習慣・生活習慣の推定 (30人), 今後の生活の展望 (24人) であった.
以上, 中学生期は骨量増加に重要な時期と考えられたが, 望ましい食習慣・生活習慣を営む者の割合は学年進行に伴い低下した. また, 2度の骨量測定は, 自身の成長段階を自覚するとともに, エビデンスに基づき生活習慣を考察し, 今後の生活を展望することに役立った. これらのことから, 継続的な食育が必要と考えられた.