家政学雑誌
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小麦粉の調理に関する研究 (第6報)
膨化調理 (2)
板橋 文代吉田 レイ蒲生 春江松元 文子
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1962 年 13 巻 4 号 p. 233-239

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抄録
1. 単一酸性剤別のガス発生試験においては、ガス発生typeに特徴、差異があり、酒石酸、燐酸一カルシウム、燐酸二水素ナトリウムは速効性であり、ミョウバンは遅効性であり、酒石英は85℃、50℃では速効性、30℃では遅効性を示した。
2. 単一酸性剤別の膨化調理では、その膨化率を高い順にあげれば、酒石英、燐酸一カルシウム、燐酸二水素ナトリウム、酒石酸、ミョウバンの順で、その膨化率は、その使用膨化剤のガス発生量と必ずしも一致しない。
3. Batterの放置時間別実験からは、酒石酸、燐酸一カルシウム、燐酸二水素ナトリウム、酒石英、(B) B. P.の5者は、放置に不安定であり、ミョウバン、(C) B. P.は安定である。B.P.については、速効性の酸性剤の含有が多いものは不安定であり、遅効性の酸性剤の含有の多いものは安定度が高い。
4. 生地については各酸性剤に特徴があり、生地的に優れたものは平均にスポンジ状を呈する酒石英であり、劣るものは、中、大孔の多い、苦味のあるミョウバンであった。
5. B. P.の保存法においては、冷蔵庫、デシケーターが1年間のガス減少率が少なく、戸棚の罐入が減少率が大きかった。
6. 月別減少では、初めの3ヵ月、即ち、昨年7~10月がガス減少率が大きく、次に高温の本年5~8月の減少率が大きかった。
7. B. Pの種類別では、(C) B. P.が減少率が小さく、(B) が減少率が最も大きかった。これをB. P.の成分と考え合せると、速効性groupの酸性剤の含有の多いB. P.は、保存に対して不安定であり、遅効性groupの含有の多いものは安定度が高い。
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