家政学雑誌
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農産加工食品の脂肪の酸敗度の測定 (第3報)
米糠の酸敗について
井上 タツ木原 芳次郎
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1963 年 14 巻 5 号 p. 330-334

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抄録

(イ) 米糠を貯蔵する場合、抗酸化剤の影響は僅かにみとめられ、サスチン3-F>サスチン1-F>P.G.の順に効力があった。
(ロ) 米糠の加熱は、温度の高い程T.B.A.値は高くなり、酸度は揮発酸が減って一定となった.加熱前および加熱後の抗酸化剤添加は、あまり効果がなかった。
(ハ) 湿度の異なった状態に貯蔵した時のT.B.A.値は、大した影響がみられなかった。酸度には水分の影響がみられ、既に知られている如く酸価上昇の適温30℃頃の夏は、酸度の上昇は著しかった。米糠の水分の多い程、T.B.A.値は変化が少なく、酸度は高くなっている。
(ニ) 紫外線は酸敗に対する影響が大きく、殊に温度と紫外線との間に相乗作用があると思われる。抗酸化剤の影響はみられなかった。酸度は紫外線照射により、各温度とも標準より低く30℃>40℃>50℃>20℃>60℃の順に低くなり、温度の影響がみられた。
(ホ) ぬか味噌に加熱糠を使用することは、初期の糠味噌の床に芳香をあたえるに役立ち、T.B.A.値、酸度に大した変化をあたえなかった。抗酸化剤の添加は薬品臭があり、好ましくなかった。原料糠の新古は、糠味噌に大した影響をあたえず、熟成につれて、T.B.A.値は下降を示した。

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