(1) 米飯の味覚に重大な影響を与えるその力学的性質を、硬度特性曲線、ならびに歪特性曲線を用いて、限界荷重、レオロジー模型等により理解し、それら模型定数から調理に関する品種別特性を明らかにすることができる。
(2) 硬度図による限界荷重は米飯温度のα乗に逆比例し、炊飯後の経過時間と共に増大し、米飯の食味は急激にまずさを増加する。
食して美味な限界荷重は1.5~2.0×10
5dyne/cm
2であり、37年度新米の豊年早生、35年度同古米、36年度朝日 (硬質米) はそれぞれ加水比1, 3、2.1、1.7において2.0×10
5dyne/cm
2の限界荷重を示す。ビルマ米は極めて粘弾性大で測定範囲の水加減では上記限界荷重を示す米飯は得られない。
(3) 歪測定においては、新米は古米に比し、また軟質米は硬質米に比し、いずれも総歪、ニュートン流動共に大で、粘度小なる傾向を示し、いずれも9要素モデルとして挙動する。外米は内地米に比し、弾力性、粘度共に極めて大で流動性に欠け5要素モデルとしての挙動を示す。
(4) 米飯食味はその粘弾性に大きく左右され、裏日本で美味とされている米飯は例えば豊年早生、新木2号の如く、ニュートン流動が大で、粘塑弾性体、フォークト体部の挙動の小なる米飯が嗜好されることがわかる.すなわち試験荷重と時間に対して、弾力性40~50%、歪8~9.5%、粘度2.8~3.0×10
5p、ニュートン流動は総歪の20~30%の範囲の米飯が美味であると考えられる。
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