抄録
1. 混捏程度と膨化の実験においては極めてざっとこねた生地よりは均質になる程度にこねた方が膨化がよく、更にこねると膨化は悪くなる。
2. 生地の放置と化膨の実験においては粉対水が1:0.75、1:1の軟らかさのbatterは放置に不安定であり、1:0.5のような硬いdoughは放置に対して比較的安定である。また1:1.5のように非常に軟らかいbatterは混捏操作中にCO2が出てしまい膨化には役立たず従って放置の影響は小さい。
3. 生地の硬さは膨化率に影響するところが大きく粉対水が1:0.75が膨化率最も高く、次が1:1、1:0.6、1:0.5と生地が硬くなる程膨化率は低下する。また水分の非常に多い1:1.5のような場合も膨化率は低い。
4. 生地の硬さと内部温度の関係は1:0.75が温度上昇早く、生地の硬い1:0.5が最も緩慢で1:1、1:1.5、1:0.6の水分割合の生地の温度上昇過程は上記2者の間に位する。そして粉対水の割合の異る生地間では、内部温度が80℃になるまでの時間と膨化率の関係を示す前報の理論は適用されない。
5. この種の生地においては加熱後内部温度が80℃になるまでは膨化を続けるがそれ以後は殆ど膨化しない。即ち80℃においてグルテンは活性を失い、小麦澱粉はおおむね糊化して生地の流動性を失い、膨化しにくくなるもののようである。