家政学雑誌
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キュウリ中の配糖体構成糖類の検索と配糖体の単離
野菜中の配糖体に関する研究 (第1報)
槇 光章
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1965 年 16 巻 4 号 p. 193-195

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抄録

植物中の配糖体については従来種々なる成分が抽出分離され、構造竜解明されているが、野菜中の存在についての報告が少ない現状である。特にrutinの存在については1904年Schmidt、及びBramsがエンジュの槐実の黄色色素sophorinは加水分解するとquercetinと糖を生じ、所謂rutinに一致する事を証明して、植物中におけるrutinの存在に関する研究の先鞭をなした。次いでWunderlichはサンシキスミレの花色素より、長谷川はタバコの乾燥葉より、工藤及び本田はユズリハ葉よりrutinを分離抽出しその存在性を確定した報告が見られるが、就中野菜中におけるrutinの存在については報告が比較的少ない状態である。
かかる現況にかんがみ、著者は野菜中の配糖体に関する基礎的研究の第一段階として、キュウリの配糖体構成糖についてその種類を稔索し、且つキュウリの乾燥試料をメタノールで抽出し、そのエキスから配糖体の一種であるrutinを単離してその存在を推定したので、その結果を竜併せて報告する次第である。
(1) キュウリを熱80%メタノールで抽出し、酷酸鉛で鉛複合物として沈澱する配糖体はグルコース、ラムノース、ガラクトース、マンノース、キシロース、フラクトースを構成糖分としている事を認めた。
(2) キュウリをメタノールで抽出し、そのエキスから配糖体rutinを単離した。

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