家政学雑誌
Online ISSN : 1884-7870
Print ISSN : 0449-9069
ISSN-L : 0449-9069
群馬県におるけ被服実態調査 (第2報)
昭和29年及び同39年の被服実態調査の比較
金子 冨美
著者情報
ジャーナル フリー

1968 年 19 巻 5 号 p. 376-382

詳細
抄録

1. 総体として被服所持数の増加が認められる。洋服の増加率は和服のそれよりも多い。洋服の増加の種類はパジャマ、ジャンパー、セーター、制服等機能的のものや、スーツのごとく服装として形式の整ったものである。和服は礼装としての式服、活動的、合理的な単仕立のものと、機能的特長のある作業服、丹前などであった。
2. 地方別、性別による被服増加率の差の顕著なものは郡部の男子の作業服と女子の単羽織である。農村が比較的多い本県では作業服の増加は当然と思われる。女子の単羽織は市部と郡部の地域差が縮まって行く傾向にあることを示している。又一般に増加率は女子が上廻っている。
3. 和洋服所持数の相関係数によれば、和・洋服取得に関する意識は、一般に各自の生活内容に応じて選択され、あまり相関性は認められなかった。
4. 被服調製の方法は、約半数が既製品利用である。そして洋服下着の殆んどは既製品であった。家庭仕立は約1/3であり、その大部分が和服の上着と下着である。注文は1/5で、洋服の上着の中1/3、和服の上着の中1/4を占めていた。 (29年度の調製方法の調査が不備の為両年の比較が不可能であった。)
5. 昭和39年度の被服所持数は必要の限度に略々達したものと考えられる。この所持数は経済企画庁調査の全国平均よりやや上廻っている。しかも国民生活白書によれば38年をピークとして、衣類の消費は他の方向 (服飾品、その他の高級品) に転じたといわれる。この現象を考え合わせて以上の結果が推測される。

著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top