家政学雑誌
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すし飯に関する研究 (第1報)
山脇 芙美子松元 文子
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1969 年 20 巻 2 号 p. 100-103

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抄録

(1) 翌日まで放置したにぎりすしのすし飯は食味が低下する。その理由は、水分、合わせ酢の酸分の減少、でんぷんの老化などによるものと考えられる。
(2) 翌日まで密閉したものを、放置したもの、およびつくりたてのものに比較してみると、次のようなことがわかった。
水分量では {放置したものより多い。つくりたてのものと同一。
酸分量では {放置したものより多い。つくりたてのものより少ない。
でんぷんの変化では {放置したものより老化の速度が小さい。つくりたてのものよりも老化する。
(3) さらに、翌日まで密閉したものと、つくりたてのものとを、調味料の滲透量、硬さ、硬粘度について比較してみると、前者は、調味料の滲透量および硬さは、より大、硬粘度は、より小とわかった。
官能テストでは、両者のあいだに、硬さの差はないけれども味に有意差を認めた。しかしこの差は調味量の滲透量による差であって、必ずしも味の低下を意味しない。
(4) ゆえに、すし飯を翌日まで残す場合、密閉して保存すれば-普通では、時間の経過に伴って温度の変化が考えられるから、本実験のように20℃の恒温室中に保存した場合よりも効果的ではないかもしれない-まずくなるのを、防ぐことができる。
なお本実験は、何れも同一条件で2~5回調製した試料を用い、そのおのおのについて3~5回の繰返しを行なった結果である。

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