家政学雑誌
Online ISSN : 1884-7870
Print ISSN : 0449-9069
ISSN-L : 0449-9069
五分粥の性状に関する研究 (第1報)
米の性状と五分粥の性状との関係
島田 保子鈴木 充子蝶谷 香代子中山 キミ子森川 直子芦沢 千代
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 20 巻 3 号 p. 158-163

詳細
抄録
市販の上米、並米、外米を選択し、それぞれの性状とこれらを使用して調製した五分粥の性状を検討した結果は次のとおりであった。
(1) 24hrs.の水漬による米の吸水率は外米がもっとも大で上米がもっとも少なかった。また膨潤率も外米がもっとも大で、上米、並米では顕著な差は認められなかった。
(2) 各米のアルカリに対する抵抗性は、外米がもっとも大で、次いで並米、上米であった。
(3) 五分粥おも湯の粘度は外米がもっとも大で、これはおも湯の固形量が多いことと関連を示すものと考察した。
(4) 炊粥による米粒の崩壊は、おも湯中固形量と米粒硬度から考えて、外米がもっとも大であると推論したが、さらに炊粥による米粒の組織変化を検討中である。
(5) 五分粥おも湯中のデキストリン分布は外米の場合には大分子のデキストリンを多く含み、上米の場合には低分子デキストリンも比較的多く含むようである。
(6) 五分粥の嗜好性は上米がもっともすぐれ、外米がもっとも劣ることが認められた。これはおも湯中のデキストリン分布や米粒組織の崩壊状態と関連をもつものと考察した。
(7) 五分粥の食味を考察するうえに関連をもつと考えられる米粉糊の離水率を検討した結果、外米がきわめて大きな離水率を示すことが認められた。
著者関連情報
© 社団法人日本家政学会
前の記事 次の記事
feedback
Top